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ニューヨーク・ブルックリン在住のアシスタントブランドマネジャー、クリス・アウトウオーターさん(26)は快適な生活を送っている。
ネットフリックスがあるため、「ウォーキング・デッド」などお気に入りの番組を見るためにケーブルテレビを契約する必要はない。タクシーが必要な時は、スマートフォンでウーバーの車を呼ぶ。旅行の予約は航空情報検索エンジン「Google Flights(グーグル・フライト)」を使う。
そんなアウトウオーターさんだが、アマゾン・ドット・コムは使っていない。家や会社の近くにいくつも店がある一方、「1人暮らしでルームメートもドアマンもいない」というアウトウオーターさんが家で荷物を受け取るのは大変なためだ。
調査会社カンター・リテールによると、米国の世帯で主に買い物をする人のうち、アウトウオーターさんのようなアマゾン非利用者は全体の約17%を占める。この割合は過去5年一貫して低下しているが、今年アマゾンを使わなかった世帯が約2200万世帯あった。
カンターによれば、アマゾンを利用しない人(世帯)の平均年齢は57歳と、米国の消費者全般の平均49歳より高い。年間所得は4万5700ドル(約532万円)と、全体の6万2800ドルを下回っている。子供がいる人や、子供と住んでいる人の割合は低い。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が全米各地のアマゾン非利用者に聞いたところ、利用しない理由は所得や生活環境、好みや信念などさまざまだった。
だが理由がどうあれ、そうした少数派は減少している。イーマーケターによると、アマゾンの世界ネット通販売上高は米最大で、それに続く米小売業者20社を合わせたネット通販売上高より大きい。また、トムソン・ロイターのアナリスト調査によると、アマゾンの今年の売上高は28%増加し、1370億ドルに達する見通しだ。
ピュー・リサーチによれば、2015年には米国の成人の約80%はスマートフォンを保有していたか、ブロードバンドの契約をしていた。小売りのテクノロジーを提供するラディアルのステファン・ウェイツ氏によれば、ネット通販を避ける人の理由は主に、ウェブサイトにアクセスできないか、荷物を受け取るのが難しい場所に住んでいることだ。
ウェイツ氏は「ウェブへの恐れや不信感は依然かなりある」とし、「なお消費者の80%が、実店舗で見て回って買いたがっている」と述べた。
ロサンゼルスに住むエブ・リチャードソンさん(28)もその1人だ。リチャードソンさんは、アマゾンを最初に有名にした製品カテゴリーである書籍についてはオンラインではなく実店舗で買う方が好きだ。「何か買わなくてはならない時、アマゾンのことは考えない」と述べ、「いずれにしろロサンゼルスで車に乗っていることが多いため、何か必要になったら、家に帰る途中で手に入れる」と説明した。
一方、フロリダ州の元教師メリー・ゲイ・シムスさん(75)はフェイスブックも使っているが、ネットではあまり買い物をしない。
シムスさんはかなり前にアマゾンで友人の著書を買ったことがあり、「速くて簡単だった」と述べた。ただ、「この年齢になると、店に行って買うことが楽しみなのだと思う」という。
ペンシルベニア大学ウォートン校のデービッド・ベル教授によると、アマゾンで買い物をしない理由には、環境に制約があるケースと、あえてそうしているケースの2通りある。
ベル氏は「インターネット接続が必要だが、経済の一部はデジタルデバイドのためにはじき出されている」と述べた。一方、ネット通販は利用するのに品ぞろえ豊富なアマゾンを避ける人は、もっと珍しいという。
セントルイスに住むコンテンツストラテジストのシーナ・タッカーさん(26)は、もともとアマゾンで大量に買い物をしていたわけではないが、2年前に同社と出版社が書籍の価格を巡って対立してからは、原則としてアマゾンを避けている。現在は小売り大手のターゲットや自然食品スーパーマーケットのホールフーズのほか、地元の商店で買い物をしている。ただ、アマゾンの「プライム・ビデオ」は利用している。
豊富な品ぞろえはアマゾンのセールスポイントだが、前出のロサンゼルスのリチャードソンさんにとっては逆かもしれない。
親族用の炊飯器を探していたリチャードソンさんがアマゾンをチェックすると、50を超える選択肢があった。だがリチャードソンさんは品ぞろえで劣るターゲットに行き、1つ選んで購入した。
リチャードソンさんはアマゾンに不満があるわけではないと述べた。利用しないのは、「私の場合は個人の好みのようなもの。復讐(ふくしゅう)ではない」という。
By SARA GERMANO and LAURA STEVENS
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