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キャズム理論がいま、大きく進化している。
経営コンサルタントのジェフリー・ムーアがキャズム理論を提唱したのは1991年だ。当時インターネットはまだ普及しておらず、状況は今と大きく変わっていた。25年の時を経て、このキャズム理論が大きく進化を遂げている。
【キャズムを超えるために】
そして最新キャズム理論は、日本市場を再び大きく成長させる可能性を秘めている。
筆者は、キャズム理論に基づいて企業の変革を支援しているキャズム・インスティチュートが都内で行ったセミナーに参加した。さらにこの団体でマネージング・ディレクターを務めるマイケル・エックハート氏と意見交換をした。そこで得られたエッセンスを皆さんと共有したい。
●この25年間で、何が変わったか?
1991年にキャズム理論が提唱されて25年、大きく変わったことが3つある。
1つ目は、市場や顧客の変化が数倍速くなったことだ。例えば企業向け携帯電話は、2010年代前半までブラックベリーの独壇場だった。しかしわずか2~3年で急速にアップルやサムソンに代替えされていった。かつては競争優位性を確立した企業は、10年間は高収益ビジネスを持続できた。しかしいまや競争優位性は2~3年程度しか継続しない。持続的競争優位性の時代は終焉(しゅうえん)し、一時的な競争優位性を常に継続して獲得し続けることが必要になっている。だから常に顧客や市場の変化に対応して変革できる体制が求められているのだ。
2つ目は、顧客がますます力を持つようになったことだ。例えばインターネット登場前は、最安値の商品を買うためにはいろいろな店を回る必要があった。今では価格比較サイトで、市場の最安値はすぐ分かる。企業の不祥事もすぐに表に出てしまう。かつては顧客よりも企業のほうが知識を持っていたが、ネットが隅々まで行き渡った現代、顧客は何でも知っている時代になった。昔から顧客を騙(だま)すという行為は商売倫理上の問題があった。しかし現代では、そもそも顧客を騙すことは不可能な時代になったのだ。
3つ目は、1990年代からクラウド、VR+AR、モバイル、アナリティックス、AI、ソーシャル、IOT、ビッグデータといった新しいデジタルテクノロジーが次々と登場し、ビジネスのあり方を大きく変えているということだ。この20年間、グーグル、アップル、アマゾン、アリババ、サムソンなどは、これらのデジタルテクノロジーを十二分に生かし、世界で躍進し大企業に成長した。
日本でも、ソーシャルを活用したソニーのプレイステーション、最近では任天堂ポケモンGOのような成功事例もいくつかある。しかしかつて世界を席巻した1990年代までの日本企業の輝きと比べると、寂しさは否めない。日本企業の多くは、デジタルテクノロジーの恩恵をビジネスに生かし切れていないのである。
●3ステップで考える最新キャズム理論
このような状況に追い詰められると、企業はこのように考えがちだ。
「それではデジタルテクノロジーを主役に据えて考えるようにしよう。まずは技術に詳しい人材をそろえて、徹底的にデジタル技術を理解した上で、ビジネスを立ち上げよう」
残念ながら、この方法ではビジネスは立ち上げられない。デジタルテクノロジーはあくまで手段だからだ。重要なのは、デジタルテクノロジーを生かして、新しい顧客を生みだし、事業を創造することだ。
ここで役立つのが最新キャズム理論なのだ。最新キャズム理論では、自社の新事業が市場でどのような状況にあり、どこに焦点を絞り、どのように支配していくかを考えていく。具体的には、次の3ステップの問いに答えながら進めていく。
・ステップ1:“Where?” 今、自社商品は技術市場モデル(TMM: Technology Market Model)のどこにいるか?
・ステップ2:“Which?” どこにフォーカスするか?
・ステップ3:“How?” ビジネスを刈り取るためにどうするか?
そして市場の圧倒的シェアを獲得し、市場を支配する。個別に見ていこう。
●ステップ1:“Where?” 今、自社商品は技術市場モデル(TMM)のどこにいるか?
最初に考えるべきは、自社商品の技術が、市場ではどのような普及状況にあるのか、ということだ。ポイントは、自社商品の視点ではなく、あくまで市場の視点で考える、ことである。
例えば、電気自動車・テスラのケースで考えてみよう。
テスラのターゲット市場をカリフォルニア州シリコンバレーとして考えると、既に充電ステーションも充実しており、消費者にとっては現実的な選択肢になりつつある。つまりキャズムを超えようとしている段階だ。しかしターゲット市場を米国の他の地域として考えると、充電ステーションはそこまで普及していないので初期市場にとどまっている。ターゲット市場を日本として考えると、そもそも充電ステーションをこれからつくろうとしているので初期市場に入ろうとしている段階だ。
このように、市場でどのような状況にあるのかを考える際に使うのが、技術市場モデル(TMM: Technology Market Model)だ。
連載第1回で紹介した「イノベーター理論」では、普及段階に応じてユーザーをイノベーター、アーリーアドプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードに分類して考えた。TMMもこれに近い形で市場を分類して考える。市場での商品の普及段階により、顧客の行動は異なるし、必要なビジネスの対応も変わってくる。
ここを見誤ると失敗してしまうのだ。
例えば2014年、アマゾンは新しいスマホ「Fire Phone」を発売した。アマゾンにとってFire Phoneは新商品だ。そこでアマゾンはさまざまな新機能を搭載してアピールした。しかしこの時期、スマホは既に広く世に普及しており成熟市場になっていた。目新しい機能だけで選ぶ顧客は既に少数派だったのだ。2015年、アマゾンはFire Phoneの販売を打ち切ることになった。
本来ならば、2014年時点でスマホは成熟市場なのだから、目新しい新機能ではなく、既存のスマホ顧客が乗り換えやすい施策を考えるべきだったのだ。
このように、最初の段階で、自社の商品やサービスがターゲットとする市場の中でどのような普及状況になるのかを理解することが必要だ。
●ステップ2:"Which" どこにフォーカスするか?
目指す市場の状況がどうなっているかが分かったら、その次に「どこにフォーカスするか」、つまり顧客の絞り込みを考える。ここで事例を紹介したい。
1990年に創業したドキュメンタムという文書管理システムを提供する会社がある(現在、ドキュメンタムは買収されてデルEMCの一部門になっている)。
当時、文書管理システム市場は成長していた。この会社も創業後の数年間は、多くの応用分野で文書管理システムを提供していた。しかし幅広く手を広げたにも関わらず、売り上げは伸び悩んでいた。そこで思い切って75分野まで広げた応用分野を思い切って2分野に絞り込んだ。
その1つが、製薬会社の新薬認可申請業務だ。私たちはつい「こんなニッチな分野に絞り込んでしまって、本当に儲(もう)かるのか?」と思ってしまうが、実は顧客はとても困っていたのだ。
新薬認可申請業務では、申請書類だけで25~50万ページに及び、この書類をつくるために膨大なデータを調べる必要があった。申請書類をつくるだけで、1日100万ドルという膨大なコストと、数ヶ月間もの時間がかかってしまう。申請が遅くなる分、その期間の貴重な新薬の特許収入を失ってしまう。顧客の痛みは極めて大きく、製薬会社の担当重役は「この業務がより簡単・迅速にできれば、ある程度のお金がかかってもぜひやりたい」と考えていた。
そこでドキュメンタムは「1年間、新薬認可申請業務に徹底的に取り組む」と腹を据えて、1社の顧客に集中して問題解決を図り、大きな成果を挙げた。その後、製薬業界トップ40社中30社がドキュメンタムのシステムを使うようになった。そして同様の文書管理のコストと時間の課題を持つ企業は他業界にもいた。その後ドキュメンタムは装置産業、製造業、金融業といったさまざまな業界に広がり、一気にキャズムを超えた。
後日、ドキュメンタムのCEOはメディアのインタビューで「75分野から2分野に絞り込むのは、リスクがあったのでは?」と聞かれ、こう答えた。
「確かに75分野から2分野に絞り込むのはリスクが大きかった。しかしもっと大きなリスクがある。75分野のまま、絞り込まないことだ」
根回し・コンセンサスによる折衷案を重視し、既に手をつけている分野からの撤退が苦手な日本企業にとっては、耳が痛い話かもしれない。
このドキュメンタムの事例から学べることは、顧客を絞り込む上でもっとも重要なのは「顧客の痛み」、言い換えれば「顧客がそれを買わなければならない差し迫った理由」である、ということだ。顧客の痛みを理解し、解決することが必要だ。
もう1つ、別の視点がある。多くの企業で、まず市場規模や成長性を考えて市場を選ぶ、という間違いを犯している。市場規模や成長性を無視してよいわけではないが、実際にはさほど重要ではない。市場サイズや成長性は、マーケットアナリストがさまざまな仮定を積み重ねて算出している予測だからだ。私たちがそれらの仮定をすべて把握しているわけではない。他人が考えた予測よりも、自分が目の前にいる顧客で検証した「顧客の痛み」という現実を信じるべきだ。
●ステップ3:"How?" ビジネスを刈り取るためにどうするか?
フォーカスすべき市場を決めたら、キャズムを超えて、市場を着実に刈り取る戦略を立てる。キャズム・インスティチュートではツールキットとして、戦略を立てるための9つの質問とその詳細なガイドを用意している。エックハート氏は、「もしこの9つのすべての質問に答えられないのであれば、それはあなたは戦略を持っていない、ということだ」と手厳しい。
あなたがいま取り組んでいる事業でこれらに答えられるか、ぜひ考えてみていただきたい。
●日本企業で、最新キャズム理論は活用できるか?
ここまで最新キャズム理論の概要を簡単に紹介してきた。さて、この方法論を御社でそのまま取り込むことはできるだろうか?
「現実には難しそうだ……」と感じる人も多いはずだ。そこで次回は、この最新キャズム理論を取り入れる上で、日本企業の課題と解決策について考えてみたい。
(永井孝尚)
中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が今年行った新入社員研修では、数百人が朝6時半に寮を出て、深センの広大な同社キャンパスでランニングをした。
30分のランニングは軍隊の新兵訓練さながらだったが、それもそのはずだ。華為は1987年、人民解放軍の技術者だった任正非・最高経営責任者(CEO)が創業した。新入社員たちが熟読した任氏のエッセーには、その経営哲学が垣間見える。「われわれは、勝てば一緒に祝杯をあげる。負ければ互いを救い出すために命を賭ける」
72歳の任氏は、ライオンを倒せる飢えたオオカミの群れに自社従業員を例えてきた。この例えから、約17万人の同社従業員についてと同じくらい、任氏の経営スタイルについて知ることができる。華為は売上高を約600億ドルに倍増させ、出荷数で世界3位のスマートフォンメーカーに踊り出るなど、過去5年に競合他社をあっと言わせてきた。この爆発的な成長について社内からは、従業員が自主的に休暇を犠牲にし、残業手当を放棄し、会社の目標達成に向けて時には命を賭けたことが一因だとの声も聞かれる。
華為の「精神的なリーダー」
8月の研修に参加したある新入社員は華為について、「会社に身をささげれば、会社は見捨てない」と述べた。
郭平・副会長はインタビューで、「共通の価値観形成で最も重要な役割を果たすのは創設者だ。米国の人が建国の父を尊敬するのはそのためだ」と述べた。任氏は依然として華為の「精神的なリーダー」だという。
華為は、5年以内に世界最大のスマホメーカーになることを目標にしている。だが任氏が日々の業務から退くなか、後継者や、グーグルやアップルとの人材獲得競争をもっと有利に進めるのに必要な変更について、疑問が浮上している。
華為の従業員の猛烈ぶりは中国企業の中でも際立っている。2014年に西アフリカ諸国でエボラ出血熱が流行した時には、他の国際企業が従業員を退避させるなか、同社の中国人労働者は感染地域にとどまった。それらの従業員は後に特別の賞与を受けた。
孫亜芳・会長は15年の年次報告書で、「危機が発生した時に華為の従業員はそれに向かっていく」一方、他の人は逃げる、と述べている。
就業1年後に「熱心な従業員契約」に署名し、有給休暇と残業代を自主返上する中国人従業員もいる。ある技術者は4年前にこの契約に署名し、報酬の一部として株を受け取り始めたと述べた。未公開企業の華為によると、同社株は全て幹部と従業員が保有している。
任氏の影響は行き渡っている。イントラネットに掲載した文書は広く読まれており、任氏に関するクイズを従業員に出す幹部もいる。
従業員の犠牲を巡る話には枚挙にいとまがない。華為に助言をしている中国人2人が執筆した「ザ・ファーウェイ・ストーリー」によると、同社が10年以上前に初めて海外市場に進出した時、シベリアの一部従業員は電気通信網を構築するため零下の中で働いた。2000年代半ばにドイツに赴任した従業員は、バスルーム共用の寮という質素な住環境を振り返っている。深センでは技術者が徹夜に備えて机の下にマットレスを常備していたと元従業員は話す。
後継者にかかるプレッシャー
任氏が昨年の世界的な広告キャンペーン用に選んだバレリーナの写真は、華為の勤勉精神を捉えている。片方の足は優雅なサテンの靴を履いているが、もう片方ははだしで傷だらけだ。成功の裏には大変な努力があることを象徴している。
だが華為を次の段階に導くリーダーは、任氏ほどの名声を得ないだろうとアナリストは言う。現在、郭氏など3人の幹部が半年ごとに輪番CEOを務めている。任氏は重要な決定について拒否権を保持しているが、華為によるとこれまで行使したことはない。
新たなリーダーは任氏ほどの影響力を持たないかもしれないとの見方もある。華為を含む中国企業への助言を行っているコンサルティング会社、BDAチャイナのダンカン・クラーク会長は「他の人が同様の倫理的権威になれるだろうか」と述べた。
任氏は、華為の次のリーダーが親族ではないと述べた。ただ、同氏の娘は最高財務責任者(CFO)を務め、息子は子会社を経営している。幹部はこれまで任氏の後継者計画についてコメントしておらず、輪番CEO制度がうまく機能していると話すにとどめている。
個人主義色の強くなった中国の若い労働者の確保に努めるなか、華為はアプローチを軟化させている。ドイツ駐在の従業員は、月々住宅手当を受け取ってアパートに住めるようになった。深センでは、机の下のマットレスは徹夜ではなく昼寝用に使われていると従業員は話す。
任氏はウガンダとマラウイのような市場の海外事務所をより頻繁に訪れている。こうした国では、中国人駐在員が粗末なインフラその他の課題に直面することも多い。郭氏によると、任氏は海外駐在員の労働環境改善に向けた資金を増やすよう、幹部に指示した。例えば、遠い国でも本物の中国料理が味わえるよう、社員食堂で中国人シェフを雇ったと従業員は話す。
郭氏によれば、任氏は「食事が良ければ、故郷が恋しくならないだろう」と述べたという。
By JURO OSAWA
食品メーカー大手の日清食品は12月7日、IoT(モノのインターネット)技術を取り入れた新工場を滋賀県栗東市に建設すると発表した。この関西工場(仮称)の設備投資額は575億円で、2019年12月に完成予定。
関西工場の特徴は、日清食品グループが2010年に立ち上げた研究開発拠点「the WAVE」が独自開発する最新鋭設備の導入とIoT技術を活用する点だ。例えば、工場内のさまざまな機器にセンサを付け、そこからデータを吸い上げることで、在庫状況や生産進ちょく率、生産ラインのトラブルなどをリアルタイムで可視化する。また、ロボットの導入などによって製造の自動化を進める。こうした取り組みにより、従来と比べて50%以上の省人化が可能で、大幅なコスト削減につながるという。
関西工場では「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」などのカップ麺と袋麺を製造する。1日当たりの生産能力は315万食。これまで同社が関西エリアで販売する商品は滋賀工場で製造していたが、関西工場の完成後は、製造工場以外の目的で活用する計画だ。
デタラメの医療情報を流していると指摘されていたキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の問題を受け、DeNA(ディー・エヌ・エー)の守安功社長が謝罪文を公表した。
【一連の事態に対するお詫びと説明】
そこで注目を集めたのは、「専門家による監修のないまま、根拠が不明確な医療関連記事を載せていた」ことについて「大きな間違いであった」という反省とともに、キュレーションメディアの運営手法についても調査を行った結果、以下のような問題が見つかったとお認めになった点だ。
共通する運営体制・方針の9つのメディア(WELQ、iemo、Find Travel、cuta、UpIn、CAFY、JOOY、GOIN、PUUL)に関して、マニュアルやライターの方々への指示などにおいて、他サイトからの文言の転用を推奨していると捉えられかねない点がございました。この点について、私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした。(プレスリリース)
では、これらのメディアはどんな「モラル」に反していたというのか。
いろいろな見方があるだろうが、個人的にはこの業界でちょいちょい露呈する「ステルスマーケティング」にも通じる「モラル」ではなかったのかと思っている。
既に報道されているように、これらのキュレーションメディアに掲載されている記事は「会員からの投稿」という体をとっているものの、実はその多くは外部のライターに発注してつくられている。ライターはマニュアルに基づいて、他サイトの記事をあれやこれやコピペして、それらしい体裁にするという「リライト」を施すという流れで大量生産され、それが検索上位にヒットするSEO対策として機能していたという。
●「タイアップ記事」のセールストーク
なぜ検索上位にあげるのかというと、媒体の広告価値をあげるためだ。例えば、WELQの媒体資料を見てみると、150万円で売られている「タイアップ記事」は以下のようなセールストークとなっている。
WELQ編集部にて貴社オリジナル記事を作成します。記事で商品の理解を深めた後、記事ページのボタンから貴社指定ページへ誘導します。コンテンツになじむ形で、広告色をおさえた自然な訴求ができます。
つまり、「一般の方からの投稿」になじむ広告というわけだ。広告業界の方からすればいろいろ細かな違いはあるのだろうが、受け取る読者側からすれば、「ステマ」となんら変わりがない。
事実、今回の問題後も運営体制が異なるということでしばらく継続していたMERY(12月7日に全記事を非公開化)も9割以上の記事が削除されたとBuzzFeedが指摘したが、裏を返せばそんな状況に陥っても2割近くの記事を公開し続けなくてはいけない「オトナの事情」があったということだ。
ただ、そのような「ステマ」的な問題もさることながら、これらのメディアがよくできているなあと関心するのは、「一般の方からの投稿」という魔法の言葉によって、ある画期的な発明をしたことだ。
それは一言で言ってしまうと「責任の放棄」である。
既に閉鎖されてしまったがWELQの記事には、このような注釈がついていた。
当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
外部ライターに無断転用などで記事を大量生産させるシステム維持のためのリスクヘッジであることは容易に想像できるが、冷静に考えるとこれはすごくないか。
正確性など一切責任を負わないというスペースの一部を150万円で売りつけているというダイナミックなビジネスモデルもさることながら、なによりもすごいと感じるのは、この文言によって、これまでのメディア運営者たちがやりたくてもできなかった「あらゆる責任から解放されたメディア」の実現を試みている点である。
●同じような「キュレーションメディア」はまだある
どんなメディアでもデタラメな話を撒き散らしたら批判や訂正を求められる。他人の記事や写真を無断でパクったら怒られて使用料を払わなくてはいけない。掲載する広告も同様で、出稿元の企業やサービスに問題があれば、「なぜそんな企業の広告を載せたのだ」と叩かれる。そのような責任をWELQなどのキュレーションメディアは「会員の投稿記事」という免罪符をちらつかせることで、すべて豪快に放り出してしまっている。
しかし、先ほども申し上げたように、記事の多くは、外部ライターに発注されてつくられている。責任逃れの根拠となっている「会員の投稿記事」ということ自体が、運営リスクを回避するためのうたい文句である可能性も否めない。
それが冒頭に「ステマ」にも通じると申し上げた最大の理由だ。
今回は、あまりに行き過ぎたSEOで悪目立ちをしたために、たまたま注目が集まったが、同様のスキームを駆使している「キュレーションメディア」はまだ山ほどある。
2016年12月1日のTechCrunch Japanによれば、DeNAのメディアの内製化には、かつて盗用問題で話題となったバイラルメディアを運営していた人材(既に退社)が関与していたそうで、守安社長もその事実を認めている
「キュレーション」だなんだと新しい言葉や、新しい概念が生まれてはいるものの、基本的には「ステマ」や「盗用問題」のようにネットメディアが従来から抱えている問題が手を変え品を変え継続されているに過ぎない。つまり、喉元過ぎればなんとやらで、今後も同様の問題が呼び方だけを変えて発生していく可能性が高いわけだ。
そして、この問題に拍車をかけているのが、日本のネット社会の特徴である「匿名性」である。
●問題を引き起こした背景
総務省も『Twitterの利用者では日本は「匿名利用」が7割を超え、他国に比べても顕著に匿名利用が多い状況にある』(情報通信白書平成26年版)としているほか、『SNSにおける実名公開の抵抗感についても「やや抵抗感がある」+「抵抗感がある」の合計が日本は6割を超えており、他国が3~4割前後であるのに対し、顕著に多い状況にある』と指摘しているように、日本人は「匿名」での情報発信を好む。
このような匿名性の高いネット社会では、匿名の情報が平然とやりとりをされ、その信頼度があがっていく、というのは容易に想像できるだろう。読者自身も素性を隠して、さまざまな発言をしているわけだから、匿名の記事、匿名の投稿に対してそれほど抵抗感を抱かない。
余談だが、この匿名カルチャーの土台になっているのは、日本の新聞である。情報源や執筆者が明らかになっていないものは信用できない、という考え方が多い海外と異なり、日本の新聞は執筆者不明の記事が溢れている。これについて日本の報道は多くの人が携わっている「分業制」だからだとかもっともらしい説明をする人もいるが、実のところは匿名によって「責任」を散らし、その所在をあやふやにするというリスクヘッジの意味合いのほうが大きい。
そういう視点で見ていけば、メディアそのものの匿名性が強まっていったことが、今回の問題を引き起こしたようにも思う。
実は『WELQ』はテキトーな記事ばかりを掲載していたわけではない。前身とされる『Medエッジ』は海外の医療論文をもとにした記事を配信していた。編集長は『日経メディカル』や医療情報サイトなどの運営をしていた方で、スーパーバイザーには、京都大学名誉教授で医師の西川伸一氏がついていた。そもそも運営元も医療サービスを取り扱う「DeNAライフサイエンス」だった。当時のMedエッジのアプリでも、「医療メディア」らしい説明がなされている。
2014年8月サイト開設から閲覧右肩上がり。最新論文情報まで、すべてがオリジナルです。医療と健康の専門情報も毎日手に入ります。週100本を超える記事で命と健康を支えます!
●「顔」が見えない記事は疑う
そんな自らの「責任」を誇らしげにアピールしていたMedエッジだが、2016年2月をもってWELQにコンテンツが移行され、消滅をしてしまう。そうしてできあがったWELQは先ほども述べたような「無責任メディア」を標榜するようになるわけだが、まるでそれと比例するかのように、匿名性を強めていく。なにしろ媒体の顔であるはずの「編集長」が消えてしまうのだ。
いや、実際はいるのかもしれないが、外に向けても公表していないし、先ほどの媒体資料にも載っていない。
海外で盛んなネットリテラシー教育の中には、怪しい情報を見抜く方法のひとつとして、「その情報を発しているのは誰か」をチェックせよというものがある。
書いている人間の「顔」が見えない記事は疑いましょう――。そんなネット教育を小学校などででも取り入れる時期にさしかかっているのではないか。
(窪田順生)
クリスマスには少し贅沢してホールケーキを食べたい、でもダイエット中なので躊躇してしまう――ではもし、カロリーが一般的なケーキの半分以下しかないケーキがあったら?
そんな低カロリー・低糖質ケーキは、どのようにして実現したのか。J-CASTニュースは、開発会社である、プライベートジムのRIZAP(ライザップ、東京都新宿区)を直撃した。
■524kcalと半分以下に
RIZAPによると、ケーキの構成は上から、北海道産いちごやブルーベリーを使用した滑らかなベリームース、スポンジ生地、甘酸っぱいヨーグルトムース、スポンジ生地だ。
2016年11月16日に予約受付開始。「大好評」のため、受付終了の12月12日までに限定300個を売り切る可能性が高いという。
特筆すべきはそのカロリーだ。一般的なデコレーションケーキだと、4号より低い。
同社担当者は11月30日の取材に対し、
「(今回の低糖質クリスマスケーキの)4分の1を召し上がっていただいても糖質は4.4グラム。一般的なショートケーキと比較し、約86%オフです」
と胸を張る。見た目も普通のデコレーションケーキと変わらない。J-CASTニュースが、「低糖質甘味料を含む」数値を問い合わせたところ、「(除く場合の17.6グラムが)37.3グラムとなり、一般的なショートケーキとの比較では、約71%オフとなる」との回答だった。
実際、画像を見たネットユーザ-からは
「普通に美味そうだ」
「見た目は悪くない」
などと、好意的な声が目立つ。
それにしても、驚きの低カロリー、低糖質はどうやって実現できたのか。RIZAPの担当者によると、その秘密は砂糖の代わりに使った甘味料、スポンジに加えた食物繊維だという。
「砂糖の代わりに低糖質の甘味料を使いました。また、スポンジは食物繊維を加えて糖質の高い小麦粉の使用量を極力減らしながら、しっとりと焼きあがるように原材料の配合を工夫しました」
取材の最後、今回のケーキの開発理由を聞くと、
「ライザップが目指しているものは、心も体も健康な生活を提案していくことです。食べたいものを我慢する、口に合わないものを我慢して食べる、というダイエットではなく、食べたいものをおいしく食べる、イベントごとも楽しむ、といった考えから、お客様にもクリスマスを楽しんでいただくために開発いたしました」
との回答が返ってきた。
矢野経済研究所は人材派遣事業者などを対象に、人材ビジネス市場に関する調査を実施し、その結果を11月17日に発表した。調査時期は7月から10月にかけて。
2015年度の人材派遣業(一般労働者派遣業)の市場規模は前年度比5.0%増の4兆1,020億円となり、2年連続のプラス成長となった。2016年度も市場は拡大し、前年度比2.0%増の4兆1,840億円と予想されている。人材派遣業市場の動向をみると、人材不足を背景とした売り手市場が続き、派遣労働者の時給単価も上昇傾向にあるものの、一部の業種ではスタッフの供給量が需要を上回る状況もあり、伸び率は前年度よりも縮小するとみられている。
関連法の改正も市場に影響を与えている。昨年9月に施行された改正労働者派遣法では、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるなど、派遣労働者の雇用安定措置が盛り込まれた。また、2013年4月施行の改正労働者契約法には、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できる「無期転換ルール」があり、その適用が2018年に迫っている。そのため、企業では人材派遣からアウトソーシングサービスへシフトする動きが活発化しており、人材派遣業市場の拡大を妨げる要因となっていると同社は指摘している。
一方で、小規模な労働者派遣事業者の倒産は増えている。東京商工リサーチが11月9日に発表した、「労働者派遣業の倒産状況(2016年1月~10月)」によると、企業の倒産件数がバブル期並みの低水準で推移する中、労働者派遣事業者の倒産は前年同期を上回り、10月までに前年同期比8%増の54社が倒産した。負債総額は前年同期比8.2%増の38億200万円だった。負債の規模をみると負債10億円以上の大型倒産は発生しておらず、1件あたりの平均負債額は前年同期と同水準の7,000万円にとどまり、小規模企業の倒産が目立った。倒産の理由をみると、販売不振が35件で全体の64.8%を占め、他社倒産の余波が8件(構成比14.8%)、放漫経営が6件(同11.1%)などとなっている。同業他社との競争のほか、規模間での賃金格差が拡大し、小規模事業者ほど派遣労働者の確保が難しくなっている環境があるという。
また、昨年9月に施行された改正労働者派遣法では、資産要件の強化や派遣社員へのキャリアアップ支援(キャリア形成支援制度)が義務化されるなど事業継続のコストがかさみ、経営体力が乏しい中小・零細規模の派遣事業者には経営の重荷になっているとみられる。
市場が成長する中、資本力に乏しい派遣事業者には厳しい環境が続き、淘汰が進む可能性がありそうだ。
引用:人材派遣業、人材不足で市場拡大が続く中、 法改正の影響を受け、小規模事業者の倒産が増加
2016年も残すところ1カ月を切った。少し気分は早いが、新年のおせち料理に出てくる定番なのが鯛(タイ)だ。近年は天然物だけでなく養殖物も増えていて、愛媛県は日本一の鯛の養殖産地だ。
【システム開発の様子】
21世紀は養殖の時代とも言われるが、世界の養殖漁獲高は既に天然漁獲高と匹敵しており、将来的には養殖が市場全体の3分の2を占めると言われている。金額ベースの市場規模は年間約5%で伸びており、2020年には世界の養殖市場は20兆円を超えるという予測もある。
そうした中、愛媛で世界の養殖産業を変え得る実証事業が行われているのをご存じだろうか。ユニークなのは、衛星技術とバイオ技術を駆使している点である。その取り組みを進めるベンチャー企業、ウミトロンの藤原謙代表取締役に話を聞いた。
●養殖産業向けのデータサービス事業
私は大学時代に小型衛星研究をして、JAXA(宇宙航空研究開発機構)で天文衛星の姿勢制御に携わりました。その後、宇宙技術を世の中に役立てたいという思いから、米カルフォルニア大学バークレー校にMBA(経営学修士)留学。在米中は、宇宙旅行のための機体開発を進めるベンチャー企業でインターンをして事業計画や資金調達を手伝うなど、宇宙ベンチャーコミュニティーにどっぷり浸かりました。
帰国後にすぐ起業することも考えたのですが、まだ具体的なアイデアとチームがなく、事業経験も積みたかったことから、三井物産にて新事業開発に携わらせていただきました。その後は衛星ベンチャーへの出資、北米の農業ITベンチャーの営業支援などを行い、1次産業と衛星データの親和性が高いことを肌身で感じました。
その後、ビジネスを立ち上げたいとの思いから、日本発で勝負できる分野として着目したのが養殖産業でした。養殖産業は21世紀の最も有望な投資機会と言われており、世界の養殖漁獲高は天然漁獲高に匹敵する量にまで増えています。世界銀行の予測では2030年には養殖が市場全体の3分の2を占めるまでになるとされています。
●生簀(いけす)の遠隔モニタリングをする
養殖産業の課題はエサ代です。現在、エサ代が生産コストの半分以上を占め、価格高騰で経営を圧迫しています。そこで衛星データなどを活用して、エサを上げるタイミングと量を最適化できないかと考えて、水産養殖向けのデータサービス事業を行うウミトロンを2016年夏に起業しました。現在は、日本で真鯛養殖生産高1位を誇る愛媛県の愛南町で複数の実証事業を行っています。
ウミトロンでは主に3つのデータを取得・統合して、エサの量とタイミングの最適化を進めようとしています。1つは生簀(いけす)内のデータで、水中カメラで魚の動きをモニタリングします。2つ目が海洋データで、広域のプランクトン分布や海面温度を見ます。3つ目が遺伝子データで、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術を活用してミクロな養殖環境をモニタリングします。
生簀のデータに関して、湾内には300くらいの生簀があり、一つ一つは縦12メートル、横12メートル、深さ10メートルほどの大きさです。その中にいる約1万2000匹の魚の動きを水中カメラでモニタリングしています。魚の動きからエサを食べたかどうかを解析する技術を構築しており、それがエサの量とタイミングを最適化するための重要なデータになります。
このカメラシステムにはデータ蓄積以外に生簀の遠隔監視という機能もあります。通常エサやりはタイマーセットがされて朝夕の2回やり、その後、生簀を人間が直接回ってエサを食べているかどうかを見ることもあります。これらの作業を、映像を見ながら遠隔で監視・操作できるようになりました。日本中どこからでも生簀の状況を見ることができますので、漁業関係者から大変好評を得ています。
●赤潮の発生予測をモデリングする
2つ目の海洋データに関しては、衛星データの活用をしています。魚の動きとともに、養殖環境のモニタリングを行うことも重要です。愛南町の養殖場は、太平洋の黒潮の影響を受けます。この海流の表面温度やプランクトン分布をモニタリングすることで、広域の養殖環境のモニタリングができます。衛星の優位性はやはりマクロで見えることです。将来衛星機数が増えて、データのリアルタイム性が増せば、ますます重要なセンサーになると思います。
3つ目の遺伝子データですが、近年は遺伝子解析のPCR技術を環境モニタリングに展開する動きが出てきており、ウミトロンでは養殖環境の水質モニタリングに活用することを考えています。私が客員研究員を務める愛媛大学では、海水サンプルをPCR技術で解析することで、プランクトンの個体数をカウントし、それを継続モニタリングすることで、赤潮の発生予測を行うという研究が進められています。
赤潮の際には、水中の酸素濃度が落ちます。その状況でさらにエサを食べると酸素消費量が増えてしまうため、赤潮発生時にはエサやりを止めたり、生簀の場所を移動したりしないと魚が酸欠で死んでしまいます。15分程度の短い時間でも魚の生存率が下がっていく世界ですので、赤潮の発生予測は養殖環境モニタリングにおいて非常に重要なのです。
こうしたさまざまなデータ収集・解析・統合を行うために、チームを組んでいます。現在フルタイムでは私1人ですが、ほかに魚の栄養学に詳しいインドネシアからの留学生、バイオインフォマティクスの専門家である日本人と3人でやっています。当面の目標としては、愛媛県の実証事業で、実際にエサが減ることの定量評価と実績を作り、遠隔でのデータ解析と現場オペレーションの融合をしていきます。
●狙うは東南アジアの養殖市場数兆円
将来的には東南アジアも有望市場として見ています。養殖の世界ではノルウェーなどの大規模養殖が注目を集めていますが、私は日本や東南アジアで行われている小口養殖にリスク分散や生育管理の観点から可能性を感じています。小口養殖なので生産者側の投資余力は限られますが、ウミトロンがデータサービスを提供することで効率化が可能と思います。
具体的にはインドネシア、タイ、ベトナム、中国などを視野に入れています。特にインドネシアではタイ、クエ、エビなどを養殖しています。日本の養殖産業は4000億円で横ばいですが、インドネシアではGDPの15%を占め、毎年20%程度成長しています。既にウミトロンではシンガポールにも拠点を構えており、今後市場開拓を進めていきたいと思います。
さらに、エサの最適化と生産コストの低減というだけではなくて、将来的には生育の高度化にもチャレンジしたいと思っています。養殖で難しいのが、早く育てるということです。遅らせることはエサの量で調整可能なのですが、早く育てることは難しいです。もし現状2年かかるのが、1年半でできるようになれば生産性が著しく向上するのは間違いありません。
藤原氏との対談はあっという間だった。筆者もこれまでさまざまな衛星データ利用を見てきたが、養殖産業への適用は視点としてとてもおもしろく、可能性を大きく感じるテーマだ。ウミトロンの今後の挑戦を期待したい。
(石田真康)
「ゼロ円スマホ」の是正をめぐり、総務省がスマートフォンをめぐるガイドライン(指針)の改正案を発表した。新型スマホが行き過ぎた値引き競争で「実質ゼロ円」で販売されることがないよう「2年前の同型機種の下取り価格以上」で販売するよう求める内容だ。
この結果、端末の購入価格は現在より高くなる可能性があるが、総務省は「通信料金は値下げとなり、利用者にはメリットが大きい」と説明している。スマホの端末購入代金が上がっても、本当に通信料金が下がるのか。行政指導の真価が問われそうだ。
■「2年前の同型機種の下取り価格以上」に
総務省の発表があったのは2016年11月18日。最新スマホの端末が実質ゼロ円で販売されるのは、長期利用者の通信料金が値引きの原資になっているためだ。日本の携帯電話の通信料金が国際的にも高い要因になっていると、これまで指摘されてきた。頻繁に最新スマホに買い替える若手ユーザーにはメリットがあるが、ガラケーを長期利用する中高年らのユーザーに負担がかかるため、不公平感が指摘されてきた。
総務省は3月に実質ゼロ円で販売しないよう指針を定めたが、大手3社の値引き競争は改まらず、4月に行政指導、10月に行政処分を行った経緯がある。
総務省は4月以降、最新スマホを「少なくとも1万円程度以上」で販売すれば、実質ゼロ円とはみなさない運用を続けてきた。今回の指針の改正で、「2年前の同型機種の下取り価格以上」となると、実質的な端末代金の負担はどうなるのか。
2年前に発売したアップルのiPhoneの場合、現在の店頭での下取り価格が2万円前後。このため、現状の「実質1万円程度の負担」と比べると負担額は倍増しそうだ。指針が「2年前の同型機種」を目安とする理由について、総務省は「契約者の多くは2年で割賦支払いを終え、買い替えるケースが多いためだ」という。
一方、指針の改正案は大手携帯会社が自社の回線以外で端末を使えなくする「SIMロック」について、ロック解除までの期間を短縮するよう求めている。割賦払いの場合は現行の6か月から100日程度以下に短縮。一括払いの場合は支払いを確認できた時点で解除するといった内容だ。いずれも各社間の料金プランの競争を促進し、携帯大手から格安スマホ会社など他社への乗り換えを促す狙いだ。
総務省は指針について12月19日まで意見公募を行い、2017年1月上旬までに改正する方針だ。果たして狙い通り、大手3社の通信料金を下げる効果があるのか、注目される。
引用:スマホ通信料、本当に下がる? 総務省「新指針」の破壊力
弁護士やジャーナリストなどで構成するブラック企業大賞実行委員会は1日、労働やパワハラなどで問題があると指摘する今年の「ブラック企業大賞2016」のノミネート企業(法人)10社を発表した。新入社員の過労自殺をめぐって強制捜査された大手広告会社、電通などが入った。今後、インターネットでの一般投票などを行い、今月23日に大賞の発表、授賞式が開かれる。
ほかにノミネートされたのは、エイジス(棚卸し代行業者)▽ドン・キホーテ(ディスカウントストア)▽プリントパック(印刷サービス)▽関西電力(電力事業)▽佐川急便(運送事業)▽サトレストランシステムズ(飲食店)▽仁和寺(宗教法人)▽ディスグランデ介護(デイサービス)▽日本郵便(郵便事業)。これらの企業(法人)については、裁判所や労働基準監督署など公的機関が是正勧告や労災認定など一定の判断をすでに下している。
実行委は、電通について「新入社員の高橋まつりさんが長時間労働の末に自殺した。13年前にも入社2年目の男性社員の自殺が過労死と認定され、十分な改善策を実施しなかった」ことを理由とした。
同大賞は今年で5回目。実行委は弁護士やジャーナリスト、NPO法人などから成る。実行委によると、裁判において企業側の非が確定した案件や、行政処分がなされた企業など、広く社会的に明白な問題があるとされた企業をノミネート。こうした企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることを目指しているという。
セイコーエプソンは11月30日、使用済みのコピー用紙から再生紙を製造するオフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)A-8000」を12月に発売すると発表した。世界初の技術でオフィスのセキュリティ向上や環境負荷低減などを提案。企業や自治体でペーパーレス化が進むなか、紙の新たな価値を提供し、市場を切り開く。3年で100億円の販売を目指す。
【再生紙が装置から排出される】
●大量の水は不要
一般的な製紙方法では、1枚につきコップ1杯という大量の水が必要となるが、PaperLabは大量の水を使わずに再生紙を製造できる。そのため、給排水工事が不要で、オフィスのバックヤードなどに設置が可能となる。
それを可能にしたのが独自開発の技術「ドライファイバーテクノロジー」。2011年から5年かけて技術を確立した。
まず、使用済みの紙に機械的衝撃を与えることで細長い繊維に変える。このとき、文書の情報は一瞬で抹消される。繊維化された紙に結合素材「ペーパープラス」を加えることで繊維を結合させ、それを加圧することで新たな紙にする。ペーパープラスの種類や加圧密度などを調整することによって、さまざまな色やサイズ、厚みの紙を作り出すことができる。
使用済みの紙を投入してから1枚目の紙を出すのに要する時間は約3分。A4用紙なら1時間に約720枚を生産できるという。
●気兼ねなく紙を使える
今後、PaperLabを活用することで得られる新たな価値の提案に力を入れる。多くのオフィスで課題となっているセキュリティ対策がその1つ。使用済みの紙を繊維に分解することで完全に情報を抹消できるため、機密文書の処理を社内で完結できる。
また、さまざまな種類の紙を低コストで高速生産できることも強み。名刺などに使用できる厚紙や色紙など、用途に応じた紙を社内で生産できる。1枚当たりのランニングコストは、市販紙を購入するよりも低く抑えられるという。
環境負荷低減に対応する「循環型オフィス」の提案にもつなげる。大量の水を使わずに再生紙を生産できることに加え、紙の購入量や紙の輸送に伴うCO2の削減を実現できる。環境負荷低減や効率化を目的に、紙を使わないペーパーレス化も進んでいるが、「気兼ねなく紙を使ってもらう」(エプソン販売の佐伯直幸社長)という新しい価値の創造を目指す。
●小型化で普及目指す
普及への課題は、小型化や騒音低減を実現し、オフィスに設置できるようにすること。商品化したPaperLab A-8000は、幅約2.8メートル、奥行き約1.4メートル、高さ約1.8メートル。15年12月に発表した開発機と比べて、幅20センチ、奥行き10センチほど小さくしたが、複合機のようにオフィスに置ける大きさではない。
新商品発表会で佐伯社長は「『設備』だった製紙機を『装置』のレベルまで小型化したが、まだ第一歩にすぎない。紙の未来を変える取り組みに今後も期待してほしい」と語った。
価格はオープンだが、予想市場価格は2000万円台前半(税別)。まずはすでにPaperLabの導入を計画、検討している企業や自治体に対して順次販売を開始する。それ以外の企業などに対しては、17年秋ごろから販売する計画。受注生産となるため、発注から納入まで約3カ月かかるという。
引用:オフィスで再生紙つくる装置発売 エプソンが新提案、3年で売り上げ100億円狙う