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どん底に落ちた「ペッパーランチ」が、快進撃を続けているワケ

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どん底に落ちた「ペッパーランチ」が、快進撃を続けているワケ

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■【荒木式】がん対策プログラム~元ハーバード大学准教授が考案した画期的な食事法~

【問題】外食チェーンを展開する「ペッパーフードサービス」の業績が好調である。その理由を述べよ――。

【V字回復のきっかけは「ワイルドステーキ」】

 「はいはい、『いきなり!ステーキ』が順調なんでしょ。行列がよくできているし」と思われたかもしれないが、その答えだと「50~60点」といったところ。同じステーキをウリにしている「ペッパーランチ」の快進撃が続いているのだ。

 ペッパーランチと聞いて「えー、本当に? ちょっと信じられない」とびっくりされた方は、あの事件・事故の記憶が甦ったからかもしれない。2007年5月に起きた強盗強姦事件と、2009年9月に起きた「O157食中毒」である。後者は感染者が全国的に広がったこともあって、業績が悪化。競争の激しい飲食業界の中で、この事故は大きな足かせになるはずだった。ネット上でも「ペッパーランチは全店閉店すべき」といった声があった中で、2012年11月から反撃が始まるのだ。

 あの手この手を打って、52カ月連続(4年以上)で既存店売上が上昇(現在も継続中)。内訳をみると、2012年の1店舗平均売上は450万円だったが、現在は650万円に。客単価は、路面店で800円、フードコートで700円だったが、現在は1100円、900円に。一度は地獄を見たペッパーランチは、どのようにして蘇ったのか。同社で取締役を務めている川野秀樹さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

●客単価が上がっているのに、客数も増えた

土肥: 国内のペッパーランチをみていると、2009年の食中毒事故をきっかけに、店舗数・売上高ともに落ち込みました。個人的に「ああ、もう終わったな」と思っていたのですが(失礼)、直近の数字を見てびっくり。2012年11月から現在(2月末)まで、52カ月連続で既存店売上が上昇している。

 どうしてかなあと思って数字を追ってみると、気になったところがあったんですよ。それは「客単価」。2012年の客単価は路面店で800円、フードコートで700円でしたが、現在は1100円、900円。そして「客数」も伸びている。マーケティングの本なんかには「客単価が上がれば、客数は減る。しかし、単価が上がっているので売り上げは伸びるかも」といったことが書かれていますが、ペッパーランチの場合は違う。「客単価が上がっているのに、客数も増えて。結果、売り上げも伸びている」。なぜ、こんなことが起きているのでしょうか?

川野: ご指摘の通り、2009年の「O157食中毒事故」で、ペッパーランチの売り上げは大きく落ち込みました。かつてないほどの大打撃を受けたこともあって、社内からは「このままではダメだ。なんとかしなければいけない」という声がありました。そこでどうしたか。それまでは工場で肉をカットして、各店舗にそれを届けていましたが、この方法でやると原価率が高くつくので、各店舗でステーキにカットしてもらうことに。

土肥: それまでの店舗スタッフは、カットされたステーキを鉄板に乗せて焼くだけ。それなのに、いきなり「肉をカットしてくれ」と伝えて、現場から不満の声はなかったですか? 「えー、そんなの無理だよ」「これまで通り、工場でカットしてきてよ」と。

川野: いくつかの店舗からそのような声がありました。ただ、一部の店舗で店内カットの形に変えたところ、売り上げがぐーんと伸びたんですよね。ということもあって、全店での導入を決めました。

土肥: 肉をカットするって簡単そうに見えて、難しそう。全店導入はスムーズにいったのでしょうか?

川野: 現場で肉のカット法を教えて、「問題がない。大丈夫」と判断したところから導入して、2010年7月に「ワイルドステーキ」という商品を販売することに。肩ロースの塊をカットしたもので、当時の価格は1000円(300グラム、ライス付き)。店内で肉の塊をカットする店はそれほどなかったので、ものすごく売れたんですよ。

●クレームが多く、一進一退の状況が続く

土肥: いわゆる高級店に行けば、その場で肉をカットしてくれる。しかし、ペッパーランチのような券売機で食券を買って、1000円で食べることができる店でそのようなスタイルの店舗はあまりなかったような。

川野: ただ、話は順調に進みません。肉の硬い部分は「サービスステーキ」(120グラム、ライス付き、580円)として販売していたのですが、一部の現場は混乱していました。ワイルドステーキとして提供する肉をサービスステーキとして提供していたり、その逆もあったり。「この前食べたときのワイルドステーキはおいしかったのに、なんだこれ!? 硬いじゃないかっ!」といったクレームがありました。ワイルドステーキが予想以上にヒットしたので、「売り上げは伸びるはず」と見込んでいましたが、クレームが多く、一進一退の状況でした。

土肥: では、一進一退の話を聞かせてください。

川野: 2010年にワイルドステーキを販売して、その商品は好調だったのですが、世の中は「デフレ経済」が続いていました。大手牛丼チェーンが牛丼一杯250円前後で販売していたので、当社も考えたんですよ。当時、サービスステーキは580円で販売していました。ライスの価格は190円なので、ライスなしで390円。そこから100円引いて、290円で販売することに。

土肥: 牛丼戦争の中にステーキが参入したわけですね。

川野: はい。290円で販売したところ、多くの店で行列ができました。ところが、またクレームが殺到しました。

土肥: どうしてですか? また違う肉を提供したとか?

川野: 「なんでライスが付いていないんだ!」「どうせ安物の肉を出しているんだろう!?」といった声が多かったんですよ。290円ステーキの原価率は50%ほどだったので、利益はあまり出ません。そのうえ、クレームが多い。

土肥: 売っても売ってもあまり儲(もう)からない。加えてクレームも多い。“骨折損のくたびれもうけ”だったわけですね。

●高価格のメニューを投入したところ

川野: ワイルドステーキに続くヒット商品がなかなか生まれない。何とか現状を打破するために、海外にヒントを求めて視察旅行に行きました。

 シンガポールの飲食店をみると、たくさんのメニューが並んでいたんですよ。カレー、パスタ、ドリア、ステーキなど。なぜかというと、現地の人はたくさんの人と一緒に食事を楽しむ文化があるんですよね。またフードコートをみると、ボリュームを少なくして、低価格の商品を提供していました。「これだ! 日本でもこの2つをやってみよう。1つはメニューを増やす。もう1つは低価格の商品を増やす」と決めました。

 2012年1月に、カレー、パスタ、ドリアなどを提供しましたが、肉以外のモノはほとんど売れませんでした。また、ボリュームを減らして低価格の商品を提供したところ、こちらはクレームが殺到。

土肥: なぜクレームがきたのでしょうか? 当時は日本でも低価格の商品がたくさんありましたよね。

川野: 「価格を下げればいいと思っているのか。ペッパーランチは肉をたくさん提供するのがウリだろう」といった声が多かったんですよね。というわけで、この2つの試みはやめました。で、次に何をしたのか。お客さまから「肉をたくさん食べたい」という声が多かったので、より肉感を出したメニューを増やしました。肉のボリュームを増やしたり、質を上げたり、すると評判が良かったんです。単価を上げたのですが、売り上げも伸びました。原価率も上がりましたが、販売価格も上がるので、粗利額も増えました。また、お客さまからは「お得に感じる」といった声が多かったんですよね。

 客数は順調に伸びていき、2014年2月に事故前の売り上げを超えました。また、券売機を止めてレジに切り替えました。それまではファストフードのステーキ店として運営してきましたが、1000円以上のステーキを食べるのに券売機で食券を買うのはちょっと嫌ですよね。また券売機で食券を買うときって、ちょっとプレッシャーを感じることがありますよね? 後ろで人が待っていたら「早く決めなければいけない」と感じて、食べたいと思っていたモノと違うモノを選ぶことも。

 そうした不満を解消するために、券売機を廃止して、レジを導入。お客さまから「オススメはどれですか?」といった質問にも答えることができるようにしました。結果、顧客満足度が上昇してきました。

●消費者の胃袋をつかむことは難しい

土肥: 当時は値下げ商品が相次いでいたので、社内から値上げすることに反対の声はなかったですか? 「また、お客さんが逃げるじゃないか」と。

川野: ありました。ただ、数店舗でテストをしました。ステーキ250グラムで価格はそのまま、ステーキ300グラムで値上げ。どちらが売れたと思いますか? 300グラムだったんですよね。

土肥: 消費者の胃袋をつかむって、難しいですねえ。価格を下げたら怒られる、ボリュームを減らしても怒られる。逆に、価格を上げて、ボリュームを増やすと、喜ばれる。資料をみると、その後売り上げは順調に回復していくわけですが、当時いまのような状況を想像していましたか?

川野: いえ、まったく。O157の事故があって、売り上げは激減。ワイルドステーキがヒットしたものの、その後は迷走が続いていました。そうした中で、原点に戻るしかなかったんですよね。ボリュームのある肉をきちんと提供するしか。以前は売り上げが低迷している店舗は割引をしていましたが、それって店の価値を下げるだけなんですよね。というわけで、いまは一切割引をしていません。

土肥: もうひとつ気になることがあります。2013年12月に「いきなり!ステーキ」を出店していますよね。同じステーキを扱っているわけなので、カニバリ(自社製品が競合するので、市場で共食いが発生してしまうこと)もあるのではないでしょうか。

川野: 当初、ペッパーランチを運営している会社が「いきなり!ステーキ」もやっていることをなるべく出さないでいました。なぜかというと「しょせんペッパーランチをやっている会社が運営しているんでしょ」といった感じで受け止められるのではないかと懸念していたから。ただ、1年ほどが経って、「ペッパーランチもやっている会社ですよ」といった形で打ち出したところ、「しょせん……」といった反応はほとんどありませんでした。

 カニバリはないのか? というご質問についですが、結論から言うと「ありません」。

土肥: 本当ですか? 東京の錦糸町、神奈川の横須賀、大阪の難波などでペッパーランチの近くに、いきなり!ステーキの店がありますよね。

●「いきなり!ステーキ」登場で、カニバリは?

川野: でも、どのペッパーランチも売り上げは伸びているんです。なぜか。「わざわざ」がキーワードだと思っています。

土肥: わざわざ? どういう意味でしょうか?

川野: いきなり!ステーキで食べたいので、わざわざ足を運ぶ人は多い。一方、ペッパーランチを食べたいので、わざわざ足を運ぶ人は少ない。

 いきなり!ステーキを食べるために、電車に乗って来たけれども行列ができていた。時間がないので並ぶのは嫌だなあと思っていたら、近くにペッパーランチがあった。その店は行列ができていないので、待たずにすむ。しかも座って食べることができる。「じゃあ、ペッパーで……」という人が多いようです。また「以前ペッパーランチで食べたことがあるけれど、しばらく食べていない」「食べたことがなかった」といったお客さまが増えています。

 ペッパーランチのオーナーさんに「近隣に『いきなり!ステーキ』ができる計画があるんです」と伝えると、ほとんどの人が「それは止めてくれ」と言っていました。でも、いきなり!ステーキが近くにできてもペッパーランチの売り上げは伸びているんですよ、といった事例をお伝えすると、納得されるケースが多いですね。いきなり!ステーキは集客力があるので、その相乗効果がでているのではないでしょうか。

土肥: 「寿司を食べたい」と思っている人は、いわゆる“寿司腹”になっているのではないでしょうか。「トロを食べたい」「ウナギを食べたい」という食欲があるのに、目的の店に行ったら行列ができていてすぐに食べることができない。「じゃ、隣にあるパスタの店にするか」とならず、近くにある寿司店を探す。時間がない状況でも、なかなかあきらめることができないわけですよ。

 寿司腹と同じように、“ステーキ腹”になっているお客さんをがっちりつかんでいるわけですね。だからペッパーランチといきなり!ステーキは共食いをしていない。本日はありがとうございました。



引用:どん底に落ちた「ペッパーランチ」が、快進撃を続けているワケ


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