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中小企業による海外展開が活発化している。世界ベースでの販売が好調な日系の自動車メーカーが生産体制を強化しているのに加え、中国や米国の越境電子商取引(EC)サイトで売り上げが伸びているのが主な原動力となっている。こうした動きを後押しする支援制度も相次いでおり、海外展開の動きはさらに加速しそうだ。
◆下がる参入障壁
日本政策金融公庫(日本公庫)は輸出に取り組む中小企業・小規模事業者に向けて、「海外展開・事業再編資金」という融資を行っている。2015年度の融資額は前年度比で11%増の265億円と堅調に推移したが、16年度に入ると伸び率が急上昇。上期の融資額が前年同期比28%増の231億円と昨年度の年間実績に迫る数字を残した。
企業規模別にみると、従業員がおよそ10人以下の小規模事業者の伸びが大きく、融資額は2.3倍の70億円に達した。「海外展開の参入障壁が下がってきた」(岡山武生・海外支援グループリーダー)というように、越境ECサイトを活用した輸出拡大に取り組む動きが顕著な形で広がっており、仕入れ代金などの運転資金を調達するケースが増えているのだ。
扱っている商品はフィルム対応の中古のカメラやフィギュア、文房具などのニッチな商品。専門性を生かすことができ小回りも効くので、小規模事業者の「伸びしろが広がっている」(岡山氏)。中国向けの越境EC市場はさらに拡大するとの見方が圧倒的なだけに、一連の構図はさらに鮮明になりそうだ。
比較的規模の大きい中小企業向け融資総額は41%増の160億円だった。最大の牽引(けんいん)役は自動車産業だ。金型や切削加工、樹脂成型といった部品の性能を左右する領域では、日本の中小企業の能力が圧倒的に高く、中国やタイ、インドネシアなどで構築されている一大ネットワークに組み込まれている。
また、日本と異なり海外の拠点では系列を超えた取引も積極的に行われており「海外でフィールドを広げようと意欲に満ちた顧客が増えている」(渋沢晃・国際業務総括グループ長)という。製造業に加えて飲食店をはじめとしたサービス産業の進出も、最近では目立っている。
◆信用保証にも注力
海外進出の支援態勢にも力を入れている。その一つが、債務の保証と同様の目的のために発行される信用状を示す「スタンドバイ・クレジット(SBLC)」制度の導入だ。中小企業の海外支店・現地法人が海外金融機関から現地流通通貨建ての融資を受ける際、日本公庫がSBLCを金融機関に発行するもので、11カ国・地域の金融機関と提携している。為替リスクの回避といった課題への対応だけではなく、地場銀行ならではのディープな情報に接することができる点も売り物だ。
プラスチック製容器のメーカー、新廣瀬商事(福岡県大刀洗町)はこの制度を活用して中国の平安銀行から資金を調達。現地の富裕層向けの食材に使われる、高品質容器の生産体制を増強する。
中小企業基盤整備機構(中小機構)も海外の進出支援に力を入れている。その一環として2月下旬に、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの医療機器企業約40社の経営者を日本に招き、神戸と東京で、商談会を中心とするビジネスマッチングを実施する。医療機器分野では最大規模の商談会で、日本側は200社強の中小企業が参加する見通しだ。
進出支援地域も多岐にわたりつつある。みずほ情報総研(東京都千代田区)は東京都大田区との間で、区内企業によるアジア・アフリカ向けの製品開発や国際貢献などについて連携協定を結んだ。
みずほ情報総研は15年、国内の農林水産業の海外進出を支援する事業を開始。東アフリカのルワンダでは、日本人による農業ベンチャー「ブルーム・ヒルズ・ルワンダ」の立ち上がりを支援した。そのベンチャーは種のない観賞用のヒマワリを現地で生産。日本貿易振興機構が昨年8月にケニアで主催した展示会で、区内企業の製品とともにヒマワリを紹介した。生産に当たっては種をまく穴を地面に掘る農機具が必要で、大田区の企業と連携して開発した。
「その企業はわれわれの要望に応え、現地仕様にカスタマイズしてくれた。そこまでしてくれるケースはなかなかない」(佐々木誠夫・コンサルティング事業推進部事業開発チーム次長)といったように、大田区のものづくりに対する姿勢は関係各位に絶対的な信頼感を与えた。これが今回の提携まで発展した要因だ。
これまでは大企業が中心になって、日本のものづくり技術や品質に対する信頼感を世界に広げてきた。海外での需要開拓を後押しする各種支援制度の拡充を背景に、今度は中小企業がその役割を担おうとしている。
引用:越境ECサイト活用 支援制度を拡充 日本公庫・中小機構
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