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小売業の未来を米ロボットレストランに見た

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小売業の未来を米ロボットレストランに見た

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 先日、米国のシアトル、サンフランシスコへ企業視察に行ってきました。両都市ともさまざまな繁盛店を見ることができて驚き連続だったのですが、今回はサンフランシスコで視察した店舗事例をご紹介します。

【商品が出てくるボックスのドアを開けたところ】

 テクノロジーベンチャーが集まるシリコンバレーが近隣にあるため、サンフランシスコには最新のIT技術を活用した店舗や施設が多数存在していました。その中でも特に斬新な取り組みをしていたのが「Eatsa」(イーツァ)です。この店はサラダを売るファストフード店ですが、ただのファストフードではありません。何と無人なのです。現地の人々の間でも「ロボットレストラン」として話題になっている同店の実態に迫ります。

●ロボットレストランと呼ばれるわけ

 サンフランシスコ滞在中に帯同していたある社長さんから「サンフランシスコにこんなおもしろい店があるらしいですよ」と教えていただいた店がありました。それがEatsaでした。

 聞くところによると、店のフロント部分(接客部分)が完全に無人化されているというのです。レジのキャッシャーや接客をするスタッフがいないレストラン。一体どんなところなのかとワクワクしながら店に向かいました。

 現在、Eatsaはサンフランシスコだけで4店舗展開していて、筆者が訪れたのはスピア通りの「リンカーンセンター」というオフィスビルの1Fにある店でした。平日朝7時から夕方5時までのオープンという、完全にオフィスランチ需要を狙った店です。

 Eatsaに入って、改めて無人化の光景に驚きました。そこにはオーダー用のタッチパネルの受付機械が10台ほど並び、その右側に透明ボックスが20個ほどコインロッカーのように並んでいたのです。店内は顧客でにぎわっていますが、店員はいません。

 接客する人がいないのでオーダーは当然セルフです。オーダー用のパネルからほしいメニューの写真をタッチして選んでいきます。現金のやり取りはなく、すべてクレジットカード決済です。そこで決済すると右側の「最新オーダー受注画面」に名前が出てきます。

 料理ができ上がると「〇番 ××様」と名前が表示されるので、そのボックスの前に行って画面をタップ。扉が開いてオーダーした料理が出てくるという仕組みです。レジがないのでレシートはなく、後からメールで送られてくるという仕組みです。

 注文から商品を受け取るまでの過程に、店のスタッフとのやり取りや会話はありませんし、そもそも店員の姿は見えません。そして提供方法がとても未来的であり、ロボット的だということで、現地ではロボットレストランや、無人ファストフード店などと呼ばれているのです。

 一緒に視察した方々も全員初めてだったこともあり、こんな店が世の中にあったのかと一様に驚きました。

●人件費削減で質の良い商品を安く提供

 Eatsaは2015年8月に開業したばかりです。共同創業者の1人はグーグルでプロダクトマネジャーを務めた人だということです。

 どうしてもこの仕組みのおもしろさに目が行きがちですが、実際には同店で提供される商品の良さと価格、そして利便性という点で顧客の支持を得ているようです。

 同店のコンセプトは「Better、Faster Food」(超速フード)。ファストフードよりも、もっと速い店とでも言えるでしょうか。最新のIT技術を組み合わせることによってこのコンセプトを実現しています。

 しかし、人気なのは速さだけではありません。「ここのサラダが安くておいしい」と地元のビジネスマンには人気なのです。

 米国は特に健康志向の強い国です。最近ではオーガニック食品を専門に扱う食品スーパーも続々と誕生するほか、ホールフーズのようなナチュラル系やオーガニック食材に強いスーパーも人気があり、出店の勢いを増しています。

 「食のトレンドはサンフランシスコで始まり、ニューヨークで育つ」と言われるほど、同地は食に恵まれたエリアです。鮮魚や青果など農産物の調達がしやすい立地であるため、とてもおいしい素材を揃えることが可能です。従って、米国の他エリアよりもさらに健康志向が強いエリア特性になっているのです。

 このような志向を持った顧客に合わせて、Eatsaの提供メニューはサラダが中心で、8種類すべてに穀物「キヌア」が入っています。キヌアとは、南米で栽培されている擬似穀物。モデルやセレブの間で栄養価が高くダイエット食にもなると人気になっているスーパーフードです。

 BENTO BOWLと名付けられたテリヤキソースのかかったものや、カレー味、地中海料理風などさまざまなメニューがありますが、ベースになっている基本メニューから苦手な食材などをカットしたり、好きなものをトッピングしたりもできます。意外にボリュームがあり、ランチはこれ一品あれば十分です。各6.95ドル(約830円)が基本で、多くの人はトッピングなどで10ドルほどになりますが、満足度が高いランチとして認識されているようです。

 全品500カロリー前後とダイエット中の人には嬉しい食事であるため、ターゲットは女性だけではなく、健康に気を遣うヒマのないビジネスマンからも人気なのは納得できます。

 どこの国でも、有機野菜をはじめとする新鮮で健康的な食品は割高ですが、Eatsaはこの無人システムによって人件費を平均よりも30%近く削って、高品質なヘルシーフードを全品6.95ドルで提供しています。ローコストオペレーションで、誰もが気軽に利用しやすい低価格なヘルシーレストランを実現させている点がイノベーティブなのです。

 現在、同店のバックヤードでは5人ほどのスタッフが調理をしているようですが、顧客からはその様子はまったく見えません。また、調理担当者は1人一台「iPad」を持って自分のタスク管理をしているとのことで、その現場のオペレーションもシステマチックに変えているようです。また、顧客も同社のアプリを入れるとスマホからプレオーダーできる便利な仕組みも導入していて、それを使えば店に着くとすぐに商品を受け取ることが可能です。「待ち時間0分」の究極のファストフード店といえるでしょう。

●日本の小売・サービス業のヒントに

 米国はまだ人口が減少していませんが、人件費の急騰は日本と同様です。時給も非常に高いのが悩みの種です。その点、Eatsaのような仕組みであれば人件費を抑えた新しいオペレーションによって収益を高めることができます。

 日本の場合は、今も有効求人倍率が1.38倍、新規有効求人倍率が2.09倍(いずれも2016年10月度厚生労働省発表数値)と上昇を続けています。特に外食業界は募集してもなかなか人が集まらない状況が続いています。

 その意味では、店頭のスタッフをゼロにするという発想はこれからの日本の小売・サービス業において必要なのではないかと思います。もちろん、すべての業態で店頭に人が必要ないのではなく、なくしても成り立つ業態はあるはずです。

 高い採用コストをかけて人を雇ってもすぐに辞めてしまう。採用はしたものの、店頭での接客サービス力が低くてクレームになる。こんな現場は意外と多いものです。

 Eatsaのようなロボットレストランはこのような悩みを解決してくれるビジネスモデルでしょう。特に人手不足に悩む日本の小売・サービス業においてはかなりのインパクトになるのではないかと感じています。

 消費不況に打ち勝つための経営のヒントをEatsaからぜひつかんでみてはいかがでしょうか。

(岩崎剛幸)

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