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フィットネスクラブ運営の「RIZAP(ライザップ)」が急成長している。芸能人らが公開ダイエットに挑むCMで注目されたが、コンビニとの提携や赤字会社を次々飲み込むなどダイエットと真逆の拡大戦略でも話題を振りまく。業界でも異彩を放ち続ける同社の横顔を追った。
満を持してあの“大物”が挑戦だ。元旦から放映されているテレビCMで、「人生初の標準体形」を手に入れることを宣言したのは、巨漢タレント、松村邦洋。“デブキャラ”で名を売る松村だが、現在の108キロ前後から80キロに落とす決意なのだという。
これまでもライザップは、タレントの遠藤章造、元プロボクサーで俳優の赤井英和、エコノミストの森永卓郎氏などをCMに起用し、見事な「激やせ」ぶりで話題を集めてきた。
CM人気は見事に営業に反映され、2012年に事業を始めたばかりだが、今では全国に店舗を展開するほか、中国やシンガポールにも出店。ライザップの運営会社は2016年3月期の連結売上高が前年同期比42%増の554億円、営業利益は2・4倍の50億円をたたき出した。それでも通過点とばかりに、20年に売上高3000億円を達成する目標を掲げ、現在は札幌証券取引所の新興企業向け市場に上場しているが、東証1部をゴールに目指しているようだ。
もっともこれまでの足取りが順風だったわけではない。むしろ、七転び八起きと言うべきか。現社長の瀬戸健氏が03年に前身の美容・健康通販の健康コーポレーションを創業したが、経営は安定せず、さまざまな通販商品に手を出し、破綻の危機にも直面した。
フィットネスクラブ事業でようやく芽が出てからは、一気に業績が浮上。冒頭で紹介した通りの派手な広告宣伝活動も当たり、業界の風雲児となったライザップは、いよいよ本格的に業容を拡大するべく、M&A(企業の合併・買収)戦略を強化し、まずはアパレルの不振企業を飲み込んでいく。婦人服販売の馬里邑、アンティローザ、三鈴を次々と傘下に収めた。
そして業界を驚かせたのが、1月16日に発表したジーンズメイトの子会社化だ。ジーンズのブランド力はあっても業績が長期低迷していたジーンズメイトだが、ライザップは「日本で最も愛されるカジュアルブランド」にV字回復させると鼻息が荒い。
ヘルスケア分野でも拡大戦略は止まらない。昨年7月には、北尾吉孝社長が率いるSBIホールディングスと手を組み、アミノ酸の一つで健康増進物質として注目される「ALA」の商用化に向けた業務提携を明らかにした。瀬戸社長は記者発表で、ライザップのキャッチフレーズ「結果にコミットする」をもじって、「ALAの100億円市場の創造にコミットする」と宣言してみせた。
昨年10月には伊藤忠商事とともにファミリーマートとの提携を発表。ライザップはフィットネスクラブの会員向けに低糖質食品を販売しており、健康食品やサービスの開発で協業していくという。ファミマの店頭でキャッチーなライザップとのタイアップ商品が今後は目につきそうだ。
ビジネスのダイエットとは真逆の膨張経営で突っ走るライザップ。果たして死角や不安はないのか。
ライザップは、雑貨業のイデアインターナショナルや書籍販売の日本文芸社など、本業とは一見遠く映る企業も多く買収している。「どこまでシナジー効果があるのか不透明」(市場関係者)という指摘が出ているほか、これらの企業の中には、ライザップの支援を受けても赤字体質からなかなか脱却できていないところも少なくない。今後のリストラや経営改革の成否がカギを握ることになる。
現在の6倍近い売上高3000億円という高い目標の実現には、積極的なM&A戦略の継続が不可欠とみられる。それには、急激に膨張していくグループを円滑に運営する組織づくりや人材育成も欠かせない。上場会社として成長していけば、それだけ市場や投資家から注がれる視線も厳しくなる。経営目標にもしっかり「コミット」できるのか。ライザップとグループを率いる総帥の瀬戸氏自らも厳しい“鍛錬”が求められそうだ。(柿内公輔)
引用:経営はダイエットと真逆? 拡大戦略で驀進するライザップ 業界の風雲児の横顔は
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