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シリコンバレーの企業が家庭向け仮想現実(VR)の覇権を握ろうと競争を続ける中、ハリウッドは同じ技術を使って人々を屋外に誘い出そうとしている。ベンチャー企業のドリームスケープ・イマーシブが新たなVRプロジェクトを仕掛ける先は、全米のショッピングモールだ。
映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏や大手映画スタジオから出資を受ける同社は、今秋にロサンゼルスのモールに最初のVR施設を開業すべく、すでに1100万ドル(約12億5000万円)を調達した。来年には同様の施設を全米に拡大していく予定だという。
ドリームスケープの共同会長を務めるウォルター・パークス氏は、独自のVR体験の他にも、人気映画シリーズのタイアップ映像も製作予定だと話す。パークス氏は映画会社ドリームワークスのトップを務め、長年にわたりプロデューサーとしても活躍してきた人物だ。
スイスのアルタニム社が開発した同社のVR技術を使えば、複数の利用者が同じVRの世界の中で交流できる。ソニーやフェイスブック傘下のオキュラスが提供する家庭用VRシステムより高度な技術を使うため、最大6人の利用者は16個のカメラやセンサーを手や足などに装着する。
「映画スタジオもショッピングセンターも、人々が集まるような体験を創造しようと努力している」とパークス氏は話す。「重なり合うその部分に、われわれは可能性を見いだした」
ドリームスケープはタイム・ワーナー傘下のワーナー・ブラザーズ、21世紀フォックス、そしてメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの巨大メディア3社から出資を受ける。その他にも3次元映像技術を手掛けるカナダのIMAX(アイマックス)、ベンチャーキャピタル(VC)のボールド・キャピタル・パートナーズ、そしてモール事業を展開するウェストフィールドが同社を支援する。
ドリームスケープのアーロン・グロスキー最高執行責任者(COO)によれば、既に新たな資金調達にも動いており、ロサンゼルス以外のモールにも事業を展開する準備を進めているという。
アイマックスもロサンゼルスに同社初となる屋外VR施設を開業し、今後拡大していく予定だ。同社の技術は家庭用VRでの体験により近いが、ドリームスケープと競合する部分もある。しかしアイマックスのリチャード・ゲルフォンド最高経営責任者(CEO)は、「この分野には多くの勝者が生まれるはずだから、賭けを広げておくのは理にかなっている」と話す。
1回10分、料金は15ドル程度
映画スタジオ各社は家庭向けのVRコンテンツを今のところあまり多く製作せず、VR企業への出資を優先させている。ウォルト・ディズニーはVR新興企業のJauntを支援し、ワーナーは拡張現実(AR)技術を開発するマジック・リープに出資している。
ドリームスケープのブルース・ボーンCEOはディズニーに23年間務めた経歴を持ち、テーマパークのアトラクションをデザインする部門にも携わっていた。同氏はVRとテーマパークは「想像の中にしか存在しない世界に人々を招く」点が共通していると指摘。一方でテーマパークは一度作ったら変更することはできないが、VRの中ならばそうとは限らないと語る。
ドリームスケープのVRプロジェクトは製作費が1本100万ドル強(約1億1300万円)で、利用者は1回約10分を15~20ドルで楽しむことができる。
同社は今後、VR技術を軍事や医療トレーニングや観光などといった分野にも応用したいとしている。
パークス共同会長は、ハリウッドの監督と協力して独自の映像体験を製作することも考えていると語る。また公開される映画とのタイアップや、フランチャイズ作品の関連映像をVRで公開する可能性もあるとしている。
スピルバーグ氏はVRコンテンツの製作会社バーチャル・リアリティも支援しているが、現時点ではドリームスケープ向けのVRコンテンツを作る契約は結んでいないという。
By BEN FRITZ
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