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■血糖値改善
熱帯地方に生息する樹木「サラシア」に着目した健康食品が、相次いで投入されている。糖の吸収を抑える効果が認められ、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)が開発された。
富士フイルムは「糖の吸収を抑える」「腸内環境を整える」という2つの機能を持つ機能性表示食品「メタバリアS」を9日に発売する。価格は240粒入りで4570円(税別)。
サラシア由来のサラシノールを8粒当たり1.0ミリグラム配合し、小腸で糖の吸収を抑える働きがある。小腸で吸収されなかった糖は、大腸で善玉菌の一つであるビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えることができる。
サラシノールは水分を吸収して変質しやすいため、扱いが難しい素材だが、同社は写真分野で培った独自のナノテクノロジーや安定化技術などを駆使し、高濃度かつ安定した品質で配合することに成功した。
吉野家は6日、機能性表示食品の牛丼の具「サラ牛」を発売した。サラシア由来の成分が、食事から摂取した糖の吸収をおだやかにする。冷凍食品で、湯煎してご飯の上にのせる。同社の公式通販ショップでの限定販売で、価格は5袋入りが2980円、10袋入りが5000円。
小林製薬は昨年10月、近畿大薬学部の村岡修教授と共同研究で開発した特定保健用食品「サラシア100」を発売した。天然のサラシアを原料とし、食後の血糖値を上昇させる糖の吸収をおだやかにする働きのある新成分「ネオコタラノール」を含む。希望小売価格は、60粒入りで3024円。
サラシアは、インドやスリランカなどで古くから健康維持のために愛飲されている。2012年10月には、大学や民間企業が集まって「サラシア属植物普及協会」が設立された。
引用:「サラシア」配合の健康食品続々 富士フイルム、吉野家、小林製薬
電子はかりや店舗情報管理システムの寺岡精工(東京都大田区)は、米国の決済端末メーカーのベリフォン(米カリフォルニア州)と共同開発した業界初のクラウド型決済端末「P400」を発売した。端末の投入により、利用店舗の利便性と安全性が高まる点をアピールし、初年度1500社、3000店舗への導入を目指す。
初期導入費用は4万7304円から。ほかに各種カードブランドの月額基本料金と、注文を処理するたびに定率で発生する費用が課金される。
1台の端末でフェリカなどの各種電子マネー、IC付きクレジットカード、磁気カードなどあらゆる決済方法に対応。POS(販売時点情報管理)とも接続、同社のクラウド型マルチ決済サービスと連携して決済データ処理業務まで、一気に行える。
利用店舗は業務負担を大幅に軽減できる。セキュリティーに関しては、クレジットカードの国際ブランド5社が策定した基準に準拠し、信頼性の高い運営環境を整えた。
小売店や飲食店など流通業で支払い方法が多様化していることや、訪日外国人観光客(インバウンド)消費拡大、クレジットカードのIC化などに対応した。またクレジットカードのセキュリティー対策を義務づけた改正割賦販売法が2018年6月までに施行されることも、開発の背景となっている。
引用:寺岡精工、初のクラウド型決済端末 1台でマルチ 店舗負担減
全国の百貨店が相次ぎ閉店している。
2017年2月28日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武が運営する茨城県つくば市の西武筑波店と大阪八尾市の西武八尾店が閉店。その前日には、さくら野百貨店仙台店を運営するエマルシェ(仙台市)が仙台地裁に自己破産を申請して営業を停止するなど、閉店ラッシュが止まらない。
■そごう・西武はこの1年に5か店を閉店
西武筑波店が2017年2月28日、32年の歴史に幕を下ろした。茨城県つくば市で唯一の大型百貨店として、また地域のシンボルとして親しまれてきたが、最近は業績の低迷に苦しんでいた。
西武筑波店は1985年開業。ピーク時(1992年2月期)の売上高は248億円だったが、2016年2月期は128億円と半分まで落ち込んでいた。専門店を多く抱える大型ショッピングセンターが出店した影響や、2005年につくばエクスプレス(TX)が開業すると、多くの顧客が都心部の百貨店に流れた。
また同日、大阪府八尾市の西武八尾店も36年にわたる営業に終止符を打った。
セブン&アイHD傘下のそごう・西武が運営する「西武」「そごう」といえば、かつては三越や伊勢丹、高島屋や松坂屋などとともに、日本を代表する百貨店大手だ。
ところが、そごう・西武は2016年2月29日に西武春日部店(埼玉県春日部市、旧ロビンソン百貨店)を閉店。同年9月30日には西武旭川店(北海道旭川市)とそごう柏店(千葉県柏市)を相次ぎ閉店。西武旭川店は1975年に開業。JR旭川駅前に立つ道北唯一の百貨店として栄えた。一方、そごう柏店もJR柏駅東口の商業拠点として栄えたが、周辺商業施設との競争が激化して売り上げが低迷。43年の歴史に幕を下ろした。
百貨店の閉店ラッシュは、そごう・西武だけではない。
2016年6月には岩手県花巻市のマルカン百貨店が惜しまれつつ閉店。2017年3月に、三越多摩センター店(東京都多摩市)と三越千葉店(千葉市)が、17年7月には堺花田阪急(大阪府堺市)や大丸浦和パルコ店(埼玉県浦和市)の閉店が予定されている。
宮城県仙台市では「さくら野百貨店仙台店」を経営するエマルシェが2017年2月27日、仙台地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は約31億円。東日本大震災の影響や、周辺で新たな商業施設が開業して競争が激しくなったことが響いた。
閉店に追い込まれているのはいずれも、業績が振るわない地方店ばかり。開業して30年、40年超と歴史がある店舗で、老朽化が進んでいることもある。
引用:地方の百貨店は消えてなくなるのか 閉店ラッシュが止まらない
「眼鏡(JINS MEME)で認知症のない世界を実現する」――。
そう語るのは、眼鏡メーカーのジェイアイエヌで「JINS MEME」プロジェクトのリーダーを務める井上一鷹さんだ。
【2017年1月18日に行われた新サービス発表会でサービスの説明を行う井上さん】
同社は、PCのブルーライトをカットして目の疲れを軽減する「JINS PC」(現・JINS SCREEN)や、花粉症対策に効果的な「JINS 花粉CUT」など、さまざまな革新的商品を生み出してきた。その中でも、特にここ数年話題を集めているのが眼鏡型ウェアラブル端末、JINS MEMEである。
JINS MEMEには3点式眼電位センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーが搭載されており、装着した人の目の動きと姿勢から「身体の状態」を計測できるのが特徴だ。
実はこのJINS MEMEが近い将来、認知症のない世界を実現するのかもしれないという。
●認知症予防のために誕生したJINS MEME
井上さんがジェイアイエヌに入社したのは2012年。もともとは経営コンサルティングの会社で働いていたが、次第に「自分も何かイノベーションを起こせる仕事をしたい」と転職を考えるようになった。そのときの転職活動で出会ったのが同社だ。
「ちょうど『JINS PC』がローンチされて3カ月ぐらいの頃でした。ブルーオーシャン(競合相手のいない領域)に大きな投資ができる社風が魅力的でしたし、眼鏡は身につけるぐらい人と距離が近いものなので、工夫次第で何か新しい市場を作れるかもしれないと思いました」(井上さん)
井上さんは入社した1年後に新しく立ち上がった事業部「R&D室」に配属され、当時はまだ構想段階であった「JINS MEMEプロジェクト」のリーダーになった。同プロジェクトについて井上さんは「もともとセンサーで目の動きを捉えるというアイデア自体は東北大学の川島隆太教授からいただいていました。その頃からJINS MEMEの開発目的は『認知症予防』です」と説明する。
「川島教授は認知症の研究者。研究では、認知症患者と健常者を比べたとき、『目の動きが遅くなる』『重心が少し後ろになる』という仮説をお持ちでした。そこで、川島教授と協力して眼鏡を認知症予防のデバイスとして活用できないかと考えたわけです」
眼鏡に各種センサーを取り込むことで、目の動きだけでなく姿勢(重心バランス)も見える化することができる。また、その人の普段の状態を常に取り続けることができるため、認知症になる前にその傾向を捉えて対策を打つことが可能になるという。
「一度認知症になってしまうと、完治させることのは困難だが、JINS MEMEの活用によって認知症になる前に対策を打つことで認知症問題の根本的な解決策になる」
他にもさまざまなプロジェクトがあった中で、井上さんがJINS MEMEプロジェクトの参加にこだわったのには理由がある。
「高校のときに、祖父が認知症を患いました。身近で認知症患者を見てきたことで病気の過酷さを知りましたし、その経験から大学で認知症の研究者になるために医学部を目指した時期もありました」
その当時はまだ、認知症という言葉も存在しなかった時代。周囲から理解が得られなかったこともあり、結局は理工学部へ進んだという。それから10年後、川島教授と出会い、このアイデアを聞いたときに「これなら認知症予防を実現できるかもしれない。自分の親が認知症になる前に形にしたい」と強く思ったという。
●「眼鏡でデータをとる」を当たり前の社会に
JINS MEMEで認知症予防のソリューションを開発するためには、JINS MEMEの活用を広げて「何をしているとき、どんな状態になるのか」といったデータを大量に集めていく必要がある。しかしどうすれば、多くのユーザーが眼鏡をかけてくれるようになるのか。
井上さんは、まずはさまざまなアプリの提供を通じて「眼鏡で自分の状態を測る」というライフスタイルを提案し、少しずつ広げていくしかないと考えた。
そこで2017年1月に誕生したのが、社員の集中力を可視化して労働生産性の向上をサポートする企業向けサービスだ。JINS MEMEを装着した人の視線移動やまばたきの回数、体軸変化から集中力を計測することができる。集中力が高まる時間帯や業務を見える化させることで、その人に合ったに合った勤務時間帯やポジションを設定するなど、より効果的な施策を打てるようになるという。
「生産性向上は社会のトレンドだが、生産性を図る指標が存在していません。体重計に乗らずに効果的なダイエット方法を見つけようとしているようなものです。まずは『集中力の見える化』から始めて、“常に眼鏡で何かを測ることが当たり前の社会”を作っていきたいですね」
同サービスの正式ローンチは4月以降だが、既に多くの企業から引き合いがあるそうだ。JINS MEMEは集中力ほかにも、精神状態(喜怒哀楽)を見える化するなどさまざまな活用の可能性を秘めている。今後もJINS MEMEならではのサービスを生み出し「最終的には収集したデータを活用して認知症予防の研究を加速させ、世界から認知症をなくすソリューションの開発につなげていく」(井上さん)計画だ。
同社は、JINS MEMEによる認知症予防サービスのローンチ時期については公表していないが、井上さんは「自分の親が認知症になる前に必ず実現したい」と力強く答えた。
(鈴木亮平)
炊飯器市場が新たな“戦国時代”に突入している。象印マホービンやタイガー魔法瓶、パナソニックなど大手メーカーがしのぎを削る中、各地から“新米”のメーカーが続々と参入。シャープ出身の技術者を積極採用した生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(仙台市)のほか、老舗鋳造メーカーの愛知ドビー(名古屋市)、家電ベンチャーのバルミューダ(東京都武蔵野市)もそれぞれ持ち味を生かし、「おいしいご飯」を追求したユニークな商品を開発している。果たして下克上を起こせるか。
◆シャープ出身者採用
ビジネスパーソンや買い物客が行き交う大阪・心斎橋の目抜き通りに建つ「アイリス心斎橋ビル」。ここが、アイリスオーヤマが2005年に参入した家電事業の開発の中枢を担う大阪R&Dセンターの拠点だ。経営再建中のシャープの技術者を積極的に採用し、熱風オーブンや花粉空気洗浄機などの製品を世に送り出しているが、15年11月から炊飯器も販売している。
アイリスの本拠地の東北は言わずとしれた「米どころ」。13年9月には精米事業に参入している。そこで蓄積したコメについての膨大なノウハウが強力な武器となっている。
「すべての人においしいご飯を届けたい」を基本コンセプトに、高級釜を使わなくても、銘柄ごとの硬さやサイズなどの特徴に応じ、最適な火力調整で炊き分ける高度な技術を開発した。
今年2月に発売した同社初となる5.5合サイズのIH(電磁誘導加熱)ジャー炊飯器は、「こしひかり」「あきたこまち」「ゆめぴりか」など31に及ぶ銘柄に対応。熱伝導性と蓄熱性に優れた厚さ3ミリの極厚銅釜を採用し、ふっくらとして、ムラの少ない炊きあがりを実現した。価格はお手頃な1万9800円(税別)。7月には3合サイズ、10月には10合サイズのIHジャー炊飯器を発売予定で、「将来的には、炊飯器市場のシェア10%を狙う」(担当者)と意欲を燃やす。
◆愛知から天下取り
戦国といえば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑。彼らを生んだ愛知を起点に「世界一おいしいご飯を炊く」と、炊飯器業界で果敢に“天下取り宣言”をしたのが、創業80周年を迎えた老舗鋳造メーカー、愛知ドビーだ。
家電愛好家の間で「究極の炊飯器」とも評される「バーミキュラ ライスポット」(税別7万9800円)を3年がかりで開発し、昨年12月に発売した。
近年は、電気炊飯器よりもガスの直火で炊くご飯を好む消費者は料理好きを中心に増えている。無水調理ができ、累計販売20万個超のヒット商品である同社の鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」で直火で炊いたご飯が「最高においしい」という顧客の声が開発のきっかけとなった。
炊飯器では、「バーミキュラ」の高い密閉性と効率的な熱伝達構造を継承。鍋の底面にIHコイル、側面にアルミヒーターを採用して竈(かまど)のような立体加熱ができるようにした。
また、通常の炊飯器にある保温用の蓋を使わないのも特徴。加熱される鍋の下部と外気で冷やされる上部に大きな温度差が生まれて激しい熱対流が起き、コメ一粒一粒までムラなく炊き上げられる。
扇風機やトースターでヒットを飛ばし、家電業界の“風雲児”とも呼ばれるバルミューダが、「土鍋で炊くよりもおいしいご飯」の味を目指した炊飯器も開発した。その名も「バルミューダ ザ・ゴハン」(同4万1500円)だ。
古くからある「蒸し炊き」をヒントに、蒸気で炊き上げる方式を採用。従来の電気炊飯器のように内釜を直に熱するのではなく、釜を二重にして、釜と釜の間に200ccの水を入れる。その沸いた水から出る蒸気で内釜を熱くし、コメをゆっくりとした加熱で炊く仕組みだ。張りがあって、粒が立つご飯が炊ける。
炊飯は通常モードの「白米60分炊き」「早炊き」「玄米」「炊き込み」「おかゆモード」の5つがあり、最大3合まで炊ける。
「日本のコメをおいしく炊く方法を知っているのはやはり日系メーカー。高付加価値のある炊飯器では外資メーカーは参入しにくい」(家電業界関係者)との声もある。
国内新興勢の炊飯器市場への参入は、日本の家電の技術力をさらに高め、ご飯をさらにおいしくしてくれそうだ。(宇野貴文)
引用:シャープ出身者を積極採用 炊飯器の“新米メーカー”狙う下克上
フリーペーパーとして一世を風靡した「R25」がその歴史に幕を下ろす。出版不況のなか、印刷・配送費用に見合う広告収入が見込めず、フリーペーパーやフリーマガジンは休刊、廃刊が相次ぐ。WEB転換も容易ではなく、業界は「冬の時代」に突入した。
かつて最大60万部を誇ったフリーペーパーの雄としては、なんとも寂しい幕切れの印象が残った。
「皆様にはご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます」
R25を運営する「Media Shakers(メディアシェイカーズ)」が1日に発表した1枚のリリースには、4月28日でR25を終了する告知と読者への謝罪が書かれていたが、終了にいたる経緯や理由は一切触れられていなかった。
R25は2004年にフリーペーパーとして創刊。30歳前後のビジネスマン層を意識して、仕事、結婚、マネーなどの話題やニュースなどを隔週刊(当初は週刊)で提供してきた。最盛期には返本率2%前後という、無料情報誌でも「驚異的」(出版関係者)な数字をたたき出した。
勢いに乗って、新社会人向けに「R22」、20代からアラサー女性をターゲットとした「L25」などの姉妹誌も発刊。その成功に刺激された参入も相次ぎ、フリーペーパーブームを牽引する存在だった。
しかし、やがて部数低迷に陥り、15年9月についに紙としては休刊。その後はネットメディアとして運営され、月間1500万超のPVを記録したこともあったが、「計画通り広告が集まらない」(発行元のリクルートホールディングス)現状を打開することは難しいと判断したようだ。
R25休刊と同じ15年には、90年以上の歴史を持つ資生堂の企業文化誌「花椿」も、やはり紙媒体としては廃刊を余儀なくされ、アルバイト求人情報誌「an」も首都圏や関西圏の一部地域で休刊した。1967年に首都圏で創刊された同誌は、九州や東海にも拡大したが、求人広告の減少に直面していた。
背景には、フリーペーパー業界が抱える厳しい構造問題が横たわる。雑誌の発行の継続は非常にコストがかかるが、とくにフリーペーパーは膨大な印刷費用が必要だとされる。
「経営が厳しいと特集や企画ページを減らさざるを得ない」(前出の出版関係者)が、内容が薄ければ手に取る読者も当然減る。売り上げの伸びが見込めないので発行部数を抑えれば、クライアントも離れていく。「悪循環に陥り、号数を重ねるにつれ先細りになっていく」(同)のだ。
それでも、10年以上続いたR25は大健闘した方かもしれない。「5号までいければ立派。実際は創刊号や2号の発刊どまりで消えていくフリーペーパーがいくつもある」(同)というのだから。
苦境に陥った各誌が飛びつくのがWEBというのもほぼお決まりのパターン。フリーペーパーの読者層である若者層が、PCやスマートフォンなど情報端末にシフトしているからというのが、これまたおしなべてその理由に挙げられる。
だが、実際にはグルメ情報一つとっても、「食べログ」などの専門の情報サイトがいくつも存在し、ネットユーザーはフェイスブックなどSNSで情報交換することが増えている。「なにもフリーペーパーに情報を提供してもらわなくても、事足りている」といった声が聞こえてくる。
実際、追い込まれたR25がデジタルで立て直しを図ったものの、状況は改善できなかったことが、業界の苦境を象徴している。(柿内公輔)
引用:フリーペーパー「冬の時代」 R25の終焉が示す業界の苦境
全国で百貨店の閉店が相次いでいる。28日には西武筑波店(茨城県つくば市)と八尾店(大阪府八尾市)が営業を終了した。三越千葉店(千葉市)も3月の閉店を予定するなど、地方や郊外での閉鎖が目立つ。個人消費が冷え込むなか、台頭するショッピングセンター(SC)やインターネット通販に顧客を奪われているほか、地方や郊外は訪日外国人の“爆買い”の恩恵が少ないことも追い打ちをかける。
「近くに住んでいるので時々来ていたが、閉店は残念ね」。28日に閉店した西武筑波店。同店での最後の買い物に訪れた60代の主婦は寂しそうに話した。
西武筑波店のピーク時(1992年2月期)の売上高は248億円だが、2016年2月期は半減となる128億円まで落ち込んでいた。専門店を多く抱える大型SCが近隣にできた影響をもろに受けたほか、05年につくばエクスプレスが開業すると「東京都心部の百貨店に顧客が流れた」(そごう・西武幹部)という。
日本百貨店協会によれば、16年の全国百貨店売上高(全店ベース)は前年比3.2%減の5兆9780億円。ユニクロなどの専門店やネット通販、SCの勢いに押され、ピークだった1991年の9兆7130億円に比べ4割も減少した。
特に苦境に立たされているのが地方や郊外だ。東京や名古屋、大阪といった主要10都市の2016年の百貨店売上高は5年前の11年に比べ1.6%増加。これに対し10都市以外の地域は11.0%も売上高が減った。地方はより少子高齢化が進むほか、陰りが見えてきたとはいえ“爆買い”の恩恵を受ける都市部の店舗に比べ訪日外国人の来店が少ない。
地方や郊外での不振を受け、そごう・西武は昨年9月にそごう柏店(千葉県柏市)と西武旭川店(北海道旭川市)の営業を終了。JR仙台駅前の「さくら野百貨店仙台店」を経営するエマルシェ(仙台市)は2月27日、仙台地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始の決定を受けた。
都市部の百貨店では、高島屋が今春、新宿店(東京都渋谷区)に空港型免税店を導入し訪日客の取り込みを狙うほか、東武百貨店が池袋本店(東京都豊島区)に3月、家具大手「ニトリ」を誘致する。大手各社は都市部の店舗に経営資源を振り向ける一方、地方や郊外は反転攻勢の道筋を描けていないのが現状だ。(大柳聡庸)
引用:全国で百貨店の閉鎖相次ぐ ネット通販に押され2桁減収 “爆買い”沈静が追い打ち
富士通は2月28日、勤務場所の制限を緩和する「テレワーク勤務制度」を4月21日に導入すると発表した。全社員約3万5000人が対象。「自宅やサテライトオフィス、出張先や移動中など、場所にとらわれないフレキシブルな働き方を可能にする」という。
同社は2015年4月から一部の職場でテレワークを試験的に導入していた。新制度は全社員にまで対象を拡大する。「社外秘の情報を扱う業務は、カフェではしてはいけないが、自宅では許可する」というように、働く環境に応じてルールを検討するという。
制度導入に合わせ、シンクライアント端末、仮想デスクトップ、Web会議などのグローバルコミュニケーション基盤を整備し、「高い情報セキュリティを確保しながらテレワークができる環境を構築する」(同社)という。PCやスマートフォンを活用し、社外でも出勤・退勤時刻を記録する仕組みも1月から導入している。
このほか、全社員向けに制度の説明会、管理職向けのマネジメント研修を実施するなど、社員の意識改革にも取り組むとしている。
引用:富士通、テレワーク勤務制度を導入 全社員3万5000人が対象
近年、ある不動産ベンチャーが注目を集めている。実店舗を持たず、AI(チャットボット)を活用したネット完結型の不動産仲介サービス「ノマド」を運営するイタンジだ。
【AIによる自動対応の例】
同社が運営するノマドは“一律3万円”という業界の常識を覆す安価な仲介手数料と、ユーザーからの問い合わせの6割をAIで即時対応するサービス力が人気で、現在、月間5000人以上、累計15万人以上が利用している。また、ノマドはプラットフォームサービスとして他の不動産仲介店舗にも展開しており、既に200店舗以上が導入するなど急拡大しているのだ。
この人気サービスはどのようにして誕生したのか。不動産業界に新しい風を吹き込むイタンジ創業者、伊藤嘉盛社長に話を聞いた。
●IT化が遅れていた不動産業界
伊藤社長が不動産仲介業で独立したのは2008年。創業当時は六本木に実店舗を構えていたが、大手企業の店舗に客を取られてしまい、開業してから数年で倒産の危機に陥ったという。
何とかしなければと模索する日々の中で伊藤社長は「不動産業界の生産性の低さに気付いた」と話す。
「たった1人で全ての業務をこなしていくうちに分かったのですが、当時は対面による接客対応のほか、オーナーから物件情報が紙(FAX)で送られてくるなど、全てがアナログでした。他の業界に比べて不動産業界はIT化が遅れていたのです。テクノロジーをフルに活用して効率化を進めれば大手にも負けないビジネスができるかもしれないと考えました」
そこで伊藤社長は、まずは実店舗を持たないネット完結型の店舗で効率的に集客するビジネスを始めようと2012年に新会社のイタンジを立ち上げた。空室確認など、ユーザーからの問い合わせは全てチャット上で対応。結果、1日に対応できるユーザー数は倍増し、生産性は大きく向上した。
そして2015年には、チャットサービスにAI(チャットボット)を導入し、さらなる効率化を図った。
「ネット完結型店舗では、1人のスタッフが複数のユーザーの問い合わせに対応します。確かに実店舗型よりも多くのユーザーを相手にできますが、忙しいときは返信が遅れてしまうことも少なくありませんでした」
複数のユーザーからくる大量の問い合わせを同時に処理しなければならないため、どうしても待ち時間を作ってしまう。「駐車場はあるか」「トイレと風呂はセパレードか」――など、本来であればすぐに回答できるはずの簡単な質問でも、返事を返すまでに10~15分程度かかってしまうことも多かったという。
この課題を解決するため、AIを活用し、データベースを参照すればすぐに分かるような問い合わせは自動で対応できるようにしようと考えたのだ。
「ユーザーからの質問は似たようなものが多く、また、HP上でも公開しているようなシンプルな内容の問い合わせが大半です。返答パターンを学習させたことで、問い合わせの6割をAIだけで対応することが可能になりました。データベースに載っていない質問が来たときにだけスタッフが対応をしています」
伊藤社長によると、実店舗のスタッフが月間で対応できるユーザー数は40人程度だが、AIによる即時対応を実現したことによって、その25倍に当たる1000人以上の対応ができるようになったという。
また、生産性を向上させたことによって仲介手数料を一律3万円に設定することが可能になった。AIによる効率化でイタンジのサービス力は進化し、ユーザーから高い人気を集められるようになったのだ。
●ITで不動産業界を変える
AI(チャットボット)の活用によって人気サービスを作り上げたイタンジ。冒頭でも述べたが、このサービスはプラットフォームサービス「ノマドクラウド」として他の不動産仲介会社にも展開しており、既に200店舗以上が導入している。導入店舗は、単に業務効率化を実現しただけでなく、売り上げ面でも効果を発揮しているそうだ。
「ノマドクラウドを導入したある店舗では、導入前と比べて月間の売り上げが60%増になったという報告も出ています。簡単な対応を自動化したことで、スタッフが付加価値の高い営業トークに注力できるようになったことが売り上げ増につながった要因です」
パターン化できる事務的作業をAIにやってもらうことで、人間は効果的なレコメンドやセールストークに集中できる。双方が得意な分野の役割を担うことでサービス質は格段に高まっていくのだという。
また、同社は管理会社向けに、不動産仲介会社からの(ダイヤル入力による)物件確認に自動応答するシステム「物確君」というサービスも提供している。
「一般的に、1つの物件確認にかかる時間は2~3分程度ですが、管理会社によっては1日に1000件以上もの問い合わせが仲介会社からきます。この問い合わせを自動化できればかなりの負担軽減につながると考えました」
同サービスは既に大手管理会社を中心に100店舗が導入しており、従業員の受電数を平均で50%削減できているそうだ。今後は、顧客情報を管理している「ノマドクラウド」と連携させていくことで、契約見込みのあるユーザーに絞った物件広告を「ノマドクラウド」上に出稿できるサービスも展開する予定だ。
今後の目標について伊藤社長は「年度内に『ノマドクラウド』の導入を500店舗以上、『物確君』の導入を300店舗以上に拡大させていき、2020年までに株式上場を目指す」と意気込む。
「AIが大量にデータを蓄積し、学習していくことで、サービス力は今後も高まっていく。テクノロジーによって不動産業界を大きく変えていけると確信している」
(鈴木亮平)
日本マクドナルドホールディングス(HD)の業績の回復基調が鮮明となった。2017年2月9日に発表した16年12月期連結決算で、最終損益が53億円の黒字(前期は349億円の赤字)と、3年ぶりに黒字転換したからだ。サラ・カサノバ社長は決算記者会見で、「ファミリー層を中心に客数が戻った」と笑みを浮かべながら、業績回復の理由を説明した。
マックのトンネルは長かった。2014、15年に期限切れ鶏肉使用や商品への異物混入が相次いで発覚して以降、客離れが深刻化。15年12月期まで2年連続で最終赤字と、業績が低迷していた。カサノバ社長も、この間の決算会見には、きつい表情で臨んでいた。それが、今回は笑顔で報道陣に対応したところに、トンネルを抜けた安ど感がにじみ出た。
■カサノバ社長「まだ満足していない」
好調を取り戻した業績は、売上高が前期比19.6%増の2266億円、本業のもうけを示す営業利益も前期の234億円の赤字から69億円の黒字に転換した。いずれも2016年11月に上方修正した業績予想をさらに上回った。
「復活」の要因はいくつか指摘される。全国555店舗を改装して清潔感や快適性を高めた。メニューを刷新し、価格は高いが素材にこだわった季節限定商品などのヒット商品にも恵まれた。2016年7月からスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」と連携したのも集客につながった。不採算店の大量閉鎖も収益改善に貢献した。
さらに日本マクドナルドHDは2017年12月期では、メニュー強化や400近い店舗の改装に加え、引き続き不採算店舗の閉鎖などに努め、売上高は前期比4.3%増の2365億円、最終利益も58.4%増の85億円と増収増益を見込む。が、野心的とも受け取れる業績予想について、カサノバ社長は会見で「まだ満足していない」と述べ、強気の姿勢を見せた。
ただ、業績回復の一方で、日本マクドナルドHDの経営体制には不確定要素がある。筆頭株主で株式の約5割を保有する米マクドナルドが株式の一部売却を検討しており、今も投資ファンドなどと交渉しているとされる。会見で報道陣から問い詰められたカサノバ社長は「1年前に売却する可能性があると連絡があった。必要な情報は随時、提供してもらうことになっているが、現時点で情報は更新されていない」と説明するにとどまった。
経営危機から脱却し、これから反転攻勢に出ようとしているが、筆頭株主が変われば経営方針の見直しを求められる可能性も高い。業績にとどまらず、米マクドナルド保有株式の行方からも目が離せない。
引用:マック・カサノバ社長が笑顔で会見 「赤字トンネル」抜けた勝因は?