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東芝が27日、稼ぎ頭である半導体の主力商品「フラッシュメモリー」事業の分社化と原子力発電事業の縮小を発表し、巨額損失からの再生にスタートを切った。半導体と原発を柱に据えた再建シナリオは崩れ、練り直しが急務だ。だが、財務危機を切り売り戦略でしのいだ結果、新たな柱は見いだしにくく、企業統治(コーポレートガバナンス)にも問題がある中で成長軌道に戻れるかは見通しにくい。
「これを契機に再生に向かって頑張りたい」。綱川智社長は27日の記者会見で力を込めてこう述べた。
分社する半導体新会社の買い手候補は、半導体拠点の四日市工場を共同運営する米ウエスタンデジタル(WD)やキヤノン、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、複数の欧米ファンドなどビッグネームがずらりと並ぶ。市場価値2兆円ともされる成長事業の魅力の表れだ。日本政策投資銀行やメガバンクが組成する投資ファンドが出資する案もある。
2017年3月期の債務超過回避までに残された時間はわずかしかない。資本増強の肝である半導体分社は時間との戦いだ。中国や韓国からの出資は技術流出懸念により難しい。現時点では「ファンドが有力」(東芝幹部)。だが、ファンドは2割の出資にうまみがあるか。東芝も買いたたかれることを懸念しており着地点は見えにくい。
一方、東芝にとって転換点となる事業構造の見直しにもかじを切った。経営危機の元凶となった原発事業は半導体と並ぶ柱としての位置付けを見直し、海外を中心に事業を縮小する。底なし沼のように損失が発生し続けるリスクを払拭するためだ。
東芝は主力2つの事業の見直しをてこに、新たな成長事業の創出など再建計画を練り直す必要がある。だが、再建への道筋は容易に見えてこない。不正会計問題発覚後にエアコンなどの白物家電子会社や医療機器子会社といった有望事業を売却するなど、危機のたびに売れる事業から切り売りしてしのいできた。この結果、巨艦企業の「解体」が進行しており、次の稼ぐ力を見いだすのが難しくなっている。
利益の大半をたたき出す半導体事業にも分社が影を落とす。サムスン電子などとしのぎを削るフラッシュメモリーは競争力保持に年数千億円規模の投資が必要で、もともと分社は投資に資金を回す構想としてあった。成長のための投資が損失の穴埋めに回れば、競争力はおぼつかなくなる。
そもそも原発事業の巨額損失は、米原子力子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)と同社が15年末に買収した原発建設会社が手掛ける米国での原発建設計画を精査して発覚した。外部の企業のままであれば避けられたリスクを買収でグループ内に抱え込んだことに「WHへの統治ができていない」と指摘は多い。
ガバナンスのずさんさが経営危機につながった構図は不正会計問題と同じだ。東芝の再建には、ガバナンスなど抜本的な見直しも再び迫られそうだ。(万福博之)
引用:東芝、ガバナンス崩壊で再建暗雲 “元凶”原発と“主力”半導体の2本柱を転換
東芝は財務体質の改善を図り、金融機関に融資継続と再建への支援を要請していく考えだが道のりは険しい。一部の金融機関が不信感を強めているからだ。資金調達方法が限られる中、金融機関への依存度が高まる見通しで3月以降の資金繰りになお不透明感が漂う。主力行は米原発建設の損失額の確定や再建策を見極めた上で3月以降融資が可能かを判断する方針。
主力3行は「日本の産業に多大な貢献をしてきた会社」(主力行幹部)として、継続融資に前向きな姿勢を示す。事業自体は好調で人材流出も起きていないことから「あとは今後の成長戦略を示してくれれば問題ない」としている。
だが、問題はその成長戦略にある。年によって振れ幅が大きい原発事業を抱える東芝の道のりはあまりに険しく「融資継続しても本当に大丈夫なのか」と不安の声が多い。東芝と相対取引する生命保険会社の幹部は「東芝への融資が理にかなったものでないと契約者に説明がつかない」と打ち明ける。
3月以降の融資継続に対しては「経営の監視体制も含めて問題点を洗い出さないと融資はしない」と断言する。協調融資や相対取引を通じて東芝を支援してきた地銀や生命保険からの不信感は強まるばかりだ。
24日にはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が長期会社格付けを「トリプルCプラス」に引き下げた。「現時点で債務が不履行になる蓋然性が高い」とされる水準で、コストがかかる社債の発行がほぼ不可能になったことを意味する。地銀や生命保険が融資継続を見送った場合、主力行は追加負担を迫られる可能性がある。(飯田耕司)
引用:東芝、金融機関の融資継続に不透明感 メガバンクは前向きも…地銀や生保の不信募る
フィットネスクラブ運営の「RIZAP(ライザップ)」が急成長している。芸能人らが公開ダイエットに挑むCMで注目されたが、コンビニとの提携や赤字会社を次々飲み込むなどダイエットと真逆の拡大戦略でも話題を振りまく。業界でも異彩を放ち続ける同社の横顔を追った。
満を持してあの“大物”が挑戦だ。元旦から放映されているテレビCMで、「人生初の標準体形」を手に入れることを宣言したのは、巨漢タレント、松村邦洋。“デブキャラ”で名を売る松村だが、現在の108キロ前後から80キロに落とす決意なのだという。
これまでもライザップは、タレントの遠藤章造、元プロボクサーで俳優の赤井英和、エコノミストの森永卓郎氏などをCMに起用し、見事な「激やせ」ぶりで話題を集めてきた。
CM人気は見事に営業に反映され、2012年に事業を始めたばかりだが、今では全国に店舗を展開するほか、中国やシンガポールにも出店。ライザップの運営会社は2016年3月期の連結売上高が前年同期比42%増の554億円、営業利益は2・4倍の50億円をたたき出した。それでも通過点とばかりに、20年に売上高3000億円を達成する目標を掲げ、現在は札幌証券取引所の新興企業向け市場に上場しているが、東証1部をゴールに目指しているようだ。
もっともこれまでの足取りが順風だったわけではない。むしろ、七転び八起きと言うべきか。現社長の瀬戸健氏が03年に前身の美容・健康通販の健康コーポレーションを創業したが、経営は安定せず、さまざまな通販商品に手を出し、破綻の危機にも直面した。
フィットネスクラブ事業でようやく芽が出てからは、一気に業績が浮上。冒頭で紹介した通りの派手な広告宣伝活動も当たり、業界の風雲児となったライザップは、いよいよ本格的に業容を拡大するべく、M&A(企業の合併・買収)戦略を強化し、まずはアパレルの不振企業を飲み込んでいく。婦人服販売の馬里邑、アンティローザ、三鈴を次々と傘下に収めた。
そして業界を驚かせたのが、1月16日に発表したジーンズメイトの子会社化だ。ジーンズのブランド力はあっても業績が長期低迷していたジーンズメイトだが、ライザップは「日本で最も愛されるカジュアルブランド」にV字回復させると鼻息が荒い。
ヘルスケア分野でも拡大戦略は止まらない。昨年7月には、北尾吉孝社長が率いるSBIホールディングスと手を組み、アミノ酸の一つで健康増進物質として注目される「ALA」の商用化に向けた業務提携を明らかにした。瀬戸社長は記者発表で、ライザップのキャッチフレーズ「結果にコミットする」をもじって、「ALAの100億円市場の創造にコミットする」と宣言してみせた。
昨年10月には伊藤忠商事とともにファミリーマートとの提携を発表。ライザップはフィットネスクラブの会員向けに低糖質食品を販売しており、健康食品やサービスの開発で協業していくという。ファミマの店頭でキャッチーなライザップとのタイアップ商品が今後は目につきそうだ。
ビジネスのダイエットとは真逆の膨張経営で突っ走るライザップ。果たして死角や不安はないのか。
ライザップは、雑貨業のイデアインターナショナルや書籍販売の日本文芸社など、本業とは一見遠く映る企業も多く買収している。「どこまでシナジー効果があるのか不透明」(市場関係者)という指摘が出ているほか、これらの企業の中には、ライザップの支援を受けても赤字体質からなかなか脱却できていないところも少なくない。今後のリストラや経営改革の成否がカギを握ることになる。
現在の6倍近い売上高3000億円という高い目標の実現には、積極的なM&A戦略の継続が不可欠とみられる。それには、急激に膨張していくグループを円滑に運営する組織づくりや人材育成も欠かせない。上場会社として成長していけば、それだけ市場や投資家から注がれる視線も厳しくなる。経営目標にもしっかり「コミット」できるのか。ライザップとグループを率いる総帥の瀬戸氏自らも厳しい“鍛錬”が求められそうだ。(柿内公輔)
引用:経営はダイエットと真逆? 拡大戦略で驀進するライザップ 業界の風雲児の横顔は
サイバーエージェントが1月26日発表した2017年9月期第1四半期(16年10~12月)の連結決算は、売上高が865億円と前年同期から16.9%増だったものの、営業利益は51.1%減の63億円にとどまった。広告事業が好調で売上高は過去最高だったが、インターネットテレビサービス「AbemaTV」への投資がかさみ、大幅な減益となった。
【グラフを見る】51.1%の大幅減となった営業利益
●“スマホシフト”先駆者として成功続くインターネット広告事業
インターネット広告事業は、売上高487億円(19.8%増)、営業利益47.2億円(31.9%増)と過去最高を更新。高い増収率と利益水準を継続している。「売り上げの約8割がスマートフォン広告。業界全体のスマホシフトは進んでおり、“スマホに強い”が当社の強みになっている」と藤田晋社長が語るように、スマホ広告市場のシェア29.2%を獲得し、拡大を続けている。今後はインフィード広告と動画広告も強化していくという。
●16年度の貢献一転、やや苦戦したゲーム事業
Cygamesなどが属するゲーム事業は、売上高346億円(16.5%増)、営業利益64.5億円(26.9%減)と増収減益。「アイドルマスターシンデレラガールズ」「グランブルーファンタジー」「Shadowverse」などの既存タイトルは堅調だったが、新規タイトルの不調と広告宣伝費の増加が響いた。
「年末年始に広告宣伝費を積極的に投下しているが、前ほど伸びなくなってきた。伸びている『Shadowverse』の広告については、売り上げよりもユーザー増加を狙っている」(藤田社長)
第2四半期以降に新規タイトル6本を提供予定。中でも「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」は、AbemaTVでアニメを先行配信し、ヒットに期待を寄せる。
●AbemaTV全力投資のメディア事業
AbemaTVなどが属するメディア事業は、売上高59億円(1.9%増)に対し、45.8億円の営業赤字を計上した(前年同期は6.8億円の黒字)。AbemaTVには今期、200億円を投資する計画で、第1四半期は50億円を投じた。
AbemaTVは16年12月に1300万ダウンロードを突破。MAU(月間利用者数)は12月時点で686万人だった。年末年始に大型の番組編成を行い、ユーザー数や復帰率が高まった。若年層向けのコンテンツを強化しており、「25~34歳、18~24歳のユーザー層が増加している。テレビを見る習慣のない属性の人々を取り込んでいる」(藤田社長)と分析している。
今後は、将棋、サッカーなどのチャンネルを増やし、編成を強化。また、3月末に縦型再生の対応、3月末~4月にオンデマンド機能「Abemaビデオ」を開始する。Abemaビデオでは、AbemaTVの見逃し配信や映画などを視聴できる。一部無料だが、月960円の有料サービスに加入すると見放題になる。今はまだ投資期だが、いずれは有料会員モデルと広告モデルで収益化していく考えだ。
メディア事業には、男女のカップリングサービス「タップル誕生」「CROSS ME」「Qunme」「mimi」「トルテ」なども含まれる。特にタップル誕生は非常に好調で、月に2~3億円を安定して売り上げている。
また、キュレーションメディア問題で「Spotlight」「by.S」にも注目が集まっている。16年夏から記事投稿の方式を、チェックを通過するものだけを公開できるようにしており、「既に対応は完了している。DeNAの問題を受けて、さらに徹底した」(藤田社長)という。もともと大きな売り上げのある部門ではないため、業績への影響は軽微としている。
今期の業績見通しは、売上高、営業利益は計画通りだが、純利益が予定よりも伸び悩んでいる。株価の低迷も予想できるため、中長期の株主に向けて「自社株買いや増配などを行い、DOE(株主資本配当率)5%以上を目安とする」指標を発表した。
引用:サイバーエージェント、営業益51%減 AbemaTV投資で
関西国際空港と大阪(伊丹)空港を運営する関西エアポートは25日、平成28年の運営概況(速報値)を発表した。関空の国際線と国内線を合わせた総旅客数は前年比9%増の2523万人となり、平成6年の開港以来過去最高となった。発着回数も8%増の17万7千回で過去最高を更新。格安航空会社(LCC)を中心に増便が相次ぎ、中国や韓国などからの観光客を取り込んだ。
国際線の旅客数は15%増の1875万人。このうち外国人は21%増の1216万人となり、いずれも過去最高だった。日本人も5%増の637万人となり、4年ぶりに前年を上回った。
関空は国内の他空港に先駆けてLCC誘致を強化。訪日外国人の急増に合わせて新規就航や増便が相次いだ。国際線の旅客便に占めるLCCの割合は34%に上っており、LCCが関空の成長を牽引している。アジアからの入国者数も全国トップだ。
一方、国内線の旅客数は7%減の647万人、発着回数も7%減の4万7千回となった。ジェットスター・ジャパンの大分線と熊本線廃止などが影響した。
発着枠に制限のある伊丹空港は、発着回数が前年から横ばいの13万9千回だったものの、旅客数は3%増の1492万人と5年連続で前年を上回った。
高齢社会に突入したが、その実像はあまり知られていない。「高齢者」と言っても年齢幅は広く、年代の偏りもある。
総務省の報告書(2016年9月15日現在)によれば、65~74歳(1764万人)と75歳以上(1697万人)の人口は拮抗(きっこう)している。75歳以上をさらに区分すると75~79歳が652万人、80~84歳が518万人、85歳以上は527万人。高齢者全体の3分の1近くを80歳以上が占める計算だ。「高齢者」の高齢化が進んでいるのだ。
この傾向は加速していく。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計では、17年には75歳以上人口が65~74歳人口を上回る。その後も75歳以上は増え続け、50年頃には総人口の4人に1人が該当するという。一方、65~74歳は31年まで減少傾向をたどり、いったんは上昇に転じるが41年に1676万人となった後に再び減り始める。
65歳になったばかりの人と、100歳近い人とでは親子ほどの年齢差がある。これを、ひとくくりにして考えるのは無理があろう。労働力不足対策として高齢者の活用が語られるが、企業が求める「比較的若い高齢者」ばかりではないのだ。
むしろ「高齢者」の高齢化による懸念が広がる。例えば医療や介護費用の増大だ。健康は個人差が大きいとはいえ、75歳を過ぎる頃から大病を患う人が増える。
健康であっても若い頃と同じとはいかない。足腰が弱り駅の階段などは障害となる。電車やバスの乗降に手間取る人が目立つようになれば、恒常的なダイヤの乱れとなろう。小売店でも商品説明や支払いに時間がかかる客が増え、効率性ばかりを追い求めては社会は成り立たない。
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「高齢者」の高齢化は、長寿である女性高齢者を増やす。前出の総務省の報告書では男性1499万人、女性1962万人で463万人上回っている。すでに日本女性の約3人に1人は高齢者だ。その“長き老後”の支援が大きな課題となろう。
女性高齢者の増加は1人暮らしの増大にもつながる。国勢調査によれば、65歳以上に占める割合は男性13.3%、女性21.1%だ。少子化や未婚化は進んでおり、今後さらなる拡大が見込まれる。
1人暮らしに関する男性と女性の事情は大きく異なる。最も多い年齢層は男性が25~29歳(29.3%)、女性は80~84歳(28.2%)だ。女性の中で1人暮らし世帯を年代別に比べても70~79歳(19.6%)と80歳以上(19.0%)が上位に来た。高齢になるにつれて増えている。夫の死亡後、独居となる人が多いということだ。
高齢女性には力仕事や役所への書類提出、金融機関での手続きなどを「夫任せ」にしてきた人も珍しくない。まずは、こうした日常生活の支援が急がれる。
だが、生活能力の衰えとともに1人で暮らせなくなるときがくる。住民基本台帳人口移動報告(15年)によれば、女性高齢者の都道府県を越えた移動率は85歳以上で増える傾向が見られる。都会に出た子供との同居や施設入所に踏み切る人が増えるということだろう。
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深刻なのは身寄りがなく、経済的にも窮乏して1人暮らしにならざるを得ない人だ。一概にはいえないが、女性には低年金者が少なくない。国民年金のみだったり厚生年金であっても男性と比べて勤務期間が短かったりして受給額が少ない例は多い。14年度の厚生年金平均受給額は男性が月約16万5000円、女性は約10万2000円だ。老後の蓄えの多くを夫の介護費用に充ててしまったという人もいるだろう。
生活保護などで個別対応したのでは行政コストがかさむ。そこで提言したいのが、政府や自治体主導による低家賃の「特別住宅」整備だ。大都市郊外では家族向けマンションなどの空き家が増えると予想されている。これを一棟丸ごとリニューアルするのも方策だ。医療や介護、生活支援サービスを一元的に提供することによって行政コストを抑えるのである。
金銭面での不安を抱きながら“長き老後”を過ごす人が増えるであろう日本。よほど効果的に政策を講じなければ乗り切ることはできない。(産経新聞論説委員・河合雅司)
引用:高齢者の「高齢化」加速、広がる懸念 「貧しき独居女性」対策急務
【2017 成長への展望】サントリーHD社長・新浪剛史さんに聞く
--米トランプ政権について
「トランプ氏の発言と現実の間で矛盾が多く、方向性が読めない。米国は自由貿易でグローバル化を推進し、一番の富を得てきた。インターネットでつながっている世界をどのように保護主義にするのか。こうした矛盾が国内外でいくつもあり、難解な何重もの方程式となっている。ただ、これまでの動きを見ると、現実的な対応をしており、そこに期待したい」
--3年前に米蒸留酒大手ビーム(現ビームサントリー)を買収したが、米国で投資を増やす可能性は
「もともとメキシコの工場を閉鎖し、ケンタッキー州の工場に生産を集中させている。5年で1200億円を投資する計画だ。米国ではビームの買収を含め、2兆円程度投資している。必要に応じて、今後も雇用や投資を増やしていく」
--ビームサントリーを米ニューヨーク証券取引所に上場させる計画はあるのか
「完全にない。上場させると、ビームサントリーから資金を得られないので、得策ではない。ビームサントリーは、想定よりもキャッシュが2、3割増えている。当社としては買収の借金を返せるだけで十分だ」
--酒税改正が決まったが、税率の一本化まで10年の期間があるが
「10年は『あっ』という間だ。その間にプレミアムビール市場を拡大する。上質で鮮度の高い商品を提供すれば、まだ伸びる余地がある。新ブランドの立ち上げは考えていない。当社で言うところのプレミアムビールのカテゴリーで7割のシェアを取り、圧倒的な一番を目指す」
--ビームとのシナジー効果は
「生産技術や品質管理、調達、営業などで着実に融合している。2018年にはサントリーとビームが共同開発したプレミアムバーボンを出したい。グローバルブランドを目指す」
--20年にグループ全体で売上高4兆円の目標を掲げているが
「4兆円の旗は降ろさない。飲料はアフリカに進出し、欧米が中心のビームもアジアやメキシコへの展開も始めている。M&A(企業の合併・買収)ではなく、自分たちの持っている資源を使いながら、売り上げを伸ばしていきたい」
--今年の賃上げに対する姿勢は
「業績を計画通り達成すれば、年収ベースで3%の賃上げを行いたい」
◇
【プロフィル】新浪剛史
にいなみ・たけし 慶大卒。1981年三菱商事入社。91年米ハーバード大経営大学院。2002年ローソン社長、14年会長を経て、同年10月から現職。横浜市出身。
引用:サントリー、プレミアムビール市場でシェア7割目指す 「圧倒的一番に」
人手不足が深刻化する中、外食や小売業界で、24時間営業をやめたり、正月の休業を増やす検討をしたりする動きが広がっている。広告大手の電通が昨2016年末、違法な長時間労働を理由に書類送検され、長時間労働の是正が社会的課題となっており、営業時間を減らす動きに拍車がかかっているようだ。
外食チェーン大手のすかいらーくは17年1月半ばから順次、主力のファミリーレストラン「ガスト」と「ジョナサン」の深夜営業を大幅に縮小する。24時間を含め、深夜にも営業している店舗は現在約1000店あり、このうち約750店の営業時間を短縮。原則として深夜2時に閉店し、早朝7時に開店する体制に改める計画だ。
■「ワンオペ」が大きな社会問題に
一方、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は2018年から、主要店舗で正月の営業開始を4日からにして、三が日は休業にすることを検討している。同社は既に2016年から、首都圏の大半の店舗で初売りの開始を従来の1月2日から3日に繰り下げており、大西洋社長は「労働環境を改善しないと人材は集まらない」と述べている。
ロイヤルホストや日本マクドナルドでも24時間営業の見直しを段階的に進めており、外食や小売業界で営業時間を短縮する動きは加速している。その大きな要因は、少子高齢化の中で深刻化している人手不足だ。労働力の中心となる生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の8716万人をピークに、2015年には7592万人と、20年で1割強も減少した。
こうした状況下、24時間営業をはじめとした長時間営業をまかなうには、従業員に過酷な労働を強いることにつながりかねない。ゼンショーホールディングス(HD)傘下の牛丼チェーン「すき家」では、人手の確保が追いつかず、深夜に1人で接客や調理を担当する「ワンオペ」が常態化し、2014年にその苛酷な実態が表面化し、大きな社会問題になった。
労働環境を健全に保ちながら人材を確保するには、賃金を上げて対応するしかない。しかし、個人消費が低迷から抜けきれない中、人件費の高騰は経営を圧迫する。このジレンマの中、営業時間を削減するしか方法がないのが実情だ。
「外食や小売りの現場では、人を確保できないため、新規出店ができない状況も生まれている。24時間営業を続ける環境は厳しさを増している」(エコノミスト)との声もある。働き方改革が安倍政権の重要課題として浮上しており、24時間営業のあり方も長時間労働是正に向け、政府の会議で議論の対象となっている。営業時間縮小の動きは止まらないだろう。
引用:24時間営業、もうもたない 人手不足に加え「働き方改革」
近年、工場見学がひそかに流行っているという。なかでも食品・酒造は誰にとっても身近な分野なだけに、人気もひとしおだ。ホンダ『シャトルハイブリッド』で600kmツーリングをおこなったさい、山梨西部、国道20号線沿いにあるシャトレーゼ白州工場を訪れてみた。
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シャトレーゼは多くの方がご存知であろう菓子メーカー。直売ネットワークを全国に持ち、ケーキや焼き菓子、アイスクリーム、和菓子、団子など、さまざまなおやつを低廉な価格で販売している。白州工場は1994年に完成した大型生産拠点だ。
工場は南アルプスを望む北杜市白州に広がる森の一角にある。南アルプスの天然水よろしく素晴らしい軟水の産地で、近くにはサントリーのウィスキー蒸留所や取水地もある。シャトレーゼがここに立地を求めたのも、食べ物の基本である水の良さを求めてのことだそうだ。
工場の入口をくぐり、生産ラインに向かって回廊を進むと突然、小豆を茹でる何とも言えない良い香りが鼻を突いてきた。内部を見ると、大きな茹で釜の中で大量の小豆が茹でられている。その小豆をフラップがぐるぐるとかき混ぜるのだが、小豆の動き具合がねっとりとして、実にいい具合だ。言うなれば、家で小豆を煮るときに木のへらでかき混ぜるのと同じ動き。大量生産のプロセスといえば、そういう生活感とかけ離れたイメージがあるのだが、関係者に話を聞いてみたところ、美味しい料理の原点は人間の調理作業にあり、大量生産はそれをどう大型の機械で再現するかが重要になるのだという。
その後も、蒸しパンの匂い、ミルキーな匂いと、生産ラインを渡り歩くたびにいろいろ美味しそうな匂いが楽しめる。筆者がメインとしている自動車、重電、石油化学などの分野では、工場見学といえば殺伐とした風景、騒音・振動、化学的な臭気などが頭に浮かぶ。食品工場の工場見学は、それとはまったく異なる、命の息遣いに満ちたイメージだった。
ひと通り工場を見学した後は白州工場名物、アイスクリームの試食ができるコーナーへ。そこでたい焼き型のアイスもなか「北海道十勝産小豆 豆のきわみ しっぽまであん」、みかん果肉が入った「つぶつぶみかんバー」、ジャージー牛乳を使った「八ヶ岳牛乳王国 ジャージー牛乳バー」、そしてもう1発小豆系で「豆のきわみ 十勝小豆バー」を食べた。
シャトレーゼといえば低価格品であるわりにはプリンなどが美味しく、たまに買ったりすることもあったのだが、工場見学の中で小豆あんも使用するお菓子に合わせて4種類作り分けているといったこだわりポイントを聞いた後だと、あらためて美味しさがきちんと伴っていることがあらためて実感された。
試食した4つのアイスのお味はいずれもとても良かった。とくにジャージー牛乳バーはこってりとした味わいがプレミアムミルクバー的で素晴らしかった。難点を感じたことがあるとすれば、しっぽまであんのもなかを噛み破ったときに見えるアイスが四角くカッティングされた形そのものなのが見た目のグレード感を下げていたこと。もう少しナチュラルな感じで入っていれば味は良いのだし、クオリティ感がアップするのではないかな~と思った。
工場見学を終えると、最後にあるのはおみやげコーナー。通常、観光地のおみやげコーナーはバラエティ豊かではあるものの、お値段も観光地価格でお財布の中身と相談することが多くなってしまいがちなのだが、シャトレーゼは泣く子も黙る低価格ライン。並んでいるものがいちいち安く、1000円、2000円も出せばそれおこそ食べきれないくらいモノが買えてしまう。中国人観光客が少し前までやっていた爆買いのカタルシスをちょっぴり追体験できるのも面白いところだ。なお、おみやげコーナーにはシャトレーゼが勝沼に解説したワイン醸造所で作った生ワインをその場でボトリングして買うこともできる。
白州界隈はシャトレーゼ白州工場以外にも穴場的なドライブスポットがたくさんある。中央自動車道からも便利なロケーションで出かけやすいのも嬉しいところだ。
《レスポンス 井元康一郎》
引用:【ドライブコース探訪】爆買い必至? 山梨・白州でスイートな工場見学
【大垣市(岐阜県)】大垣共立銀行の土屋嶢頭取(70)は、自ら立ち上げた「OKB」(Ogaki Kyoritsu Bank)ブランドの事業について話したくて仕方がないといった様子だ。例えば、OKBブルーベリージャム、OKBチョコレート、OKBギャラリーについてだ。
土屋氏はOKB融資も手がけている。だが他のOKB事業も本業と同様に刺激的だと話す。銀行業は超低金利で利幅が狭まるなか土屋氏に苦役を強いている。
土屋氏は「この金利情勢では、何人かに定期預金を100万円やってもらうよりはOKBチョコレート10個売った方が場合によってもうかるかもしれない」と述べた。
日本の地方銀行を取り巻く環境は厳しい。顧客層の高齢化は急速に進んでいる。企業は借り入れをするどころか現金を退蔵している。大手行は米国その他の場所で成長を模索しているが、土屋氏が率いるような小規模行には手が届かない。
他の地方銀行もさまざまな策に出ている。例えばある銀行は、最近になって運転免許を自主返納した高齢者に特別金利を提供している。
地方銀行数十行が、レモン風味のイカのスナックなど地元の名物を東京で紹介するフードフェスティバルを毎年主催している。首相夫人の安倍昭恵氏は、昨年11月に行われた直近の回に登場。銀行が単に資金を融資するのではなく、「銀行というものの役割が少し変わっていく時代になってきているのではないか」と述べている。
日本では昨今の経済情勢を背景に、電機メーカーが野菜栽培に乗り出すなど、銀行以外の企業も業容を拡大している。富士通はかつての半導体工場でレタスを栽培している。
土屋氏は融資以外に事業を拡大するため、名古屋に近い人口約16万人の大垣市でOKBブランドを積極展開している。OKB米やOKB農場に加え、正月前には新たにOKBチョコレート(10個入り、2700円)を発売した。
もちろん土屋氏は、銀行が他の業務を営むことを禁じる銀行法の規定を順守しなくてはならない。12月下旬に開店した、OKBチョコを販売する店は、大垣共立銀行の取引先が運営している。